【番外編4】sweet situation
そしてもっと夢中になる
―――――番外編 そしてもっと夢中になる―――――
「春平!」
「ん?」
「今日は春平のマネしてみました!!」
「……俺のマネ?」
「じゃーん!!クッキー焼いてきました!!」
私が差し出した袋を見つめながら、春平は首を傾げた。
「どこらへんが……俺?」
改めて聞かれると照れてしまった。
「えっと……これは、」
「ん?」
「春平のことを思いながら焼きましたので……春平への『好き』を結晶にしたクッキー……なんちゃって?」
照れながら笑って誤魔化してみた。
春平の凛々しい目にジッと見つめられて、余計に頬っぺたが熱くなった。
「奏」
「な、何?」
「……ありがとう」
「…ッッうん!!」
嬉しくて笑顔になった。
さっそく袋からクッキーを出し、春平の顔へと持っていく。
「はい!」
私の手から春平はそのままパクっと口に入れてくれた。
春平、カワイイ!
「どう?春平、どう?」
ワクワクしながら感想を求めた。
「……甘い。旨い」
「ホント?」
「うん。味見してないの?」
「したけど、春平の感想が嬉しいの!!」
「……」
嬉しくなってもう一枚、春平に差し出す。
「はい!!」
「まだ口に入っている」
「…もういらない?」
「いや、食べる」
そう言って春平はもう一枚食べてくれた。
「旨い」
「うん!!ありがとう!!」
嬉しくて笑顔が止まらない。
ニコニコとしているとクッキーが無くなった手に、代わりに春平の手が掴んできた。
「…え?」
「これが奏の俺への気持ち?」
改めて聞かれてハニカんだ。
「そうだよ?美味しいでしょ?」
「うん、美味しい」
掴んでいた手を引かれて、キョリがグッと春平に近付いた。
「奏」
「春平…」
「キスしたい」
「えっ!?ちょ……ええぇ!?だ…ダメだよ!!ここ、教室!!」
「うん、わかってる。だから我慢してるけど……奏が可愛いから」
春平の言葉に顔も握られている手もボッと熱く赤くなった。
「春平……」
「うん」
「あとで春平のこんぺいとう、くれるなら……いいよ」
春平は目を細めて笑った。
「あとで……な?」
春平の甘い香りにあてられて、クラクラする。
最近じゃあこんぺいとうを貰う前から重症レベルでドキドキ。
「奏?」
「うん!?」
「もう一枚ちょうだい」
「あ、うん!!」
「菊池」
「呼んだ?真葵」
「あの二人見てたら、かなーり殴り飛ばしたい気分になるんだけど……いいかな?殴ってきても」
「まぁまぁ、邪魔したくなる気持ちもわかるけど許してやんなよ。ラブラブなんだから」
「イチャつきすぎだろ!?教室の真ん中で!ココが教室って完全に忘れてるよ、あれは」
「二人とも天然だから自覚してないんじゃないかな?すごくナチュラルに『あーん』までしてるし」
「天然って……恐ろしい」
「二人の世界だな」
「二人の世界だね」
真葵と菊池くんがそんな会話としてるとも知らずに、私は春平と甘いお菓子を口にした。
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