第63話

しばらく歩いて隣に歩く彼がこう尋ねてきた 。




「 帆夏ちゃん 、オレの事分かる ? 」




「 その呼び名ですぐ分かったよ 、

変わってないなって思った 。 筧くん 。 」




「 あはは 、さすがにバレちゃったか 。

でも帆夏ちゃんの事オレと同じ呼び方してるヤツ

もう一人居るじゃん ? だからバレないと思ったのに 。」




「 あ 〜 … ならね 、眼鏡かな ?

今でも眼鏡付けてるのは変わらないんだね 。 」




「 あ 〜 … 目だけは何故か良くならなくて … (笑)

コンタクトにしたくてたまらないよ (笑)」




「 ふふふ 、 そうなの ?

似合ってるからいいと思うけどね 。 」




「 ありがとう 、 帆夏ちゃん 。 あ 、 そそ 。

あそこに居るヤツこそ帆夏ちゃんに大事な話がある

から 〝 連れてきて欲しい 〟って頼んだヤツだよ 。 」




と筧くんが指した方向に居たのは 、

ブランコに座っていた 星野夏樹 だった 。




その姿を久々に見たからか

再び透明な雫が目から次々と流れ落ちる 。




「 … 夏樹 … っ … 」




「 ほら 、行って来な 、 帆夏ちゃん 。 」




そう筧くんが泣いている私の背中を押す 。




「 … っ … 、私 … 今 あいつにどんな顔合わせれば

いいか分からない … っ … 。合わせる資格ない … 。 」




「 何があったかは知らないけど会うだけ会って来なよ 、それともそんなに会いたくないほど何かあったの ? 」




ここで言うべきか … 、でも筧くんは夏樹と美鈴が

実は彼氏彼女という関係を知っているのか … 。




「 … 帆夏ちゃん … ? 」




「 … あ … ううん ! … 行って来るね 。 」




不安にさせてどうするの 。

ここは話さない方がいいだろう 。

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