第63話
しばらく歩いて隣に歩く彼がこう尋ねてきた 。
「 帆夏ちゃん 、オレの事分かる ? 」
「 その呼び名ですぐ分かったよ 、
変わってないなって思った 。 筧くん 。 」
「 あはは 、さすがにバレちゃったか 。
でも帆夏ちゃんの事オレと同じ呼び方してるヤツ
もう一人居るじゃん ? だからバレないと思ったのに 。」
「 あ 〜 … ならね 、眼鏡かな ?
今でも眼鏡付けてるのは変わらないんだね 。 」
「 あ 〜 … 目だけは何故か良くならなくて … (笑)
コンタクトにしたくてたまらないよ (笑)」
「 ふふふ 、 そうなの ?
似合ってるからいいと思うけどね 。 」
「 ありがとう 、 帆夏ちゃん 。 あ 、 そそ 。
あそこに居るヤツこそ帆夏ちゃんに大事な話がある
から 〝 連れてきて欲しい 〟って頼んだヤツだよ 。 」
と筧くんが指した方向に居たのは 、
ブランコに座っていた 星野夏樹 だった 。
その姿を久々に見たからか
再び透明な雫が目から次々と流れ落ちる 。
「 … 夏樹 … っ … 」
「 ほら 、行って来な 、 帆夏ちゃん 。 」
そう筧くんが泣いている私の背中を押す 。
「 … っ … 、私 … 今 あいつにどんな顔合わせれば
いいか分からない … っ … 。合わせる資格ない … 。 」
「 何があったかは知らないけど会うだけ会って来なよ 、それともそんなに会いたくないほど何かあったの ? 」
ここで言うべきか … 、でも筧くんは夏樹と美鈴が
実は彼氏彼女という関係を知っているのか … 。
「 … 帆夏ちゃん … ? 」
「 … あ … ううん ! … 行って来るね 。 」
不安にさせてどうするの 。
ここは話さない方がいいだろう 。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます