第60話

「 … え … ? み … 三原 沙織 って言いましたか ? 」




「 あぁ 。 三原 沙織 って確かお前の母親だよな ? 」




____ どういう事なの ? お母さん生きてるの ?

え … ? 交通事故に遭って父と同時に帰らぬ人と

なったんじゃなかったの … ? え … ?

死んだと思っていた人が生きていたなんて … 。

そう思うと何で私の事を違う人に預けたのかとか

捨てたのかとか嫌な事ばかり浮かんで来る … 。

兄と姉が言っていた事も嘘のように思えて来る … 。

という事は父も生きているという事なのだろうか … 。




今にも感情がおかしくなりそうだった 。

狂いそうな … 自分自身が壊れそうな …

自分じゃなくなりそうな … そんな気もした … 。




ついに私は耐え切れなくなったのか

膝から崩れ落ちそうになる 。




「 … !!! 三原 っ !!! 」




そう大声を出して私の名前を呼んだ東雲冬馬は

崩れ落ちそうになる私に駆け寄って来て支えてくれた。




「 … せ … ん … ぱ … い … 、 」




「 … お前はまだ何も知らされてなかったんだな … 、

本当の 〝 真実 〟 を 。 悪かった … 。 」




「 … 先輩は何も悪くないです … 、私なんかが

産まれたから … 、私なんか要らない子供だったんですよ

きっと … 。絶対そうに決まってる … 。 」




そう私が言ったその時だった 。

突然私を支えていた東雲冬馬が 、私の体を起こし

自らの両手を私の両肩それぞれに置きこう言ってきた 。




「三原 、金輪際一切そのような事を口にするな 、

いいな ? 何があってもだぞ 。そんな事思うような

両親なんてこの世に存在しねーから 。分かったか ? 」




「 … はい … 、すみませんでした … 。 」

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