第31話

去ろうとする雅を止めたのは匠海だった 。



「 ちょ待てよ ! せっかく久々に再会したってのに

何の挨拶もなしかよ ? 」 と 。



雅は足を止めたが 、パタパタと走るようにその場から離れて行く 。あたしも後を追うように着いて行こうとしたその時だった 。



『 ガシッ 』



と誰かに腕を掴まれる 。振り向くと腕を掴んだのは晴人だった 。



「 … 何 、 」



と言うと 、晴人はパッと離し 、



「 何でもねえよ 、」



と吐き捨ててクルッと身体の向きを変えて雅とは反対の道へと歩き始める 。



「 ちょお 、晴人待てよ ! 」



と慌てて匠海が駆け足で後を追うように走って行く 。



「 …… 。 」



あたしはただただその場所を離れる事が出来なかった 。

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