第30話


 そもそもファンクラブなんてものはない。だって、私が聞いた彼はどこからどう見たって近付き難い存在そのものだったから。なんなら別の意味で、目立ってたみたいだし。そんな彼が今はファンクラブ出来ちゃう程になるなんて一体何があったの?



 気付けば雅も私も、無意識に匠海が隣に居るにも関わらず、橘 遙人をじっと見詰めた。



 そんな私達2人の様子に、橘 遙人が見るに耐え切れなかったのか、血相と声色こわいろを変えて ___ 、



「 あのさ 、さっきから2人からすげえ視線感じるんだけど何か用 、? 」 と、声が発せられ両方の耳に届く。



 用がある訳じゃないけど、やっぱ違う。まず昔こんな口調じゃなかった 。成長する前とは言え、話し方に凄く違和感を感じる。



 絶対何かあったよね、? と、そんな事を思う私に対して雅は、そんな彼の変わりように最早恐怖を覚えたのか、声を少し震わせながらも、


「 … ううん、何もないよ 、」と敢えて嘘を付き 、私に 〝 行こう 〟と声を掛けて来た。



 そんな雅の目には、まだ涙がうっすら残っているだけでなく顔色が酷く、悪く、見えた。



 彼女も私と同じで、上手くは言えないけど、

 “何か”が違うと感じているんだろう。



 ただ、その“何か”が、なんなのかは私も雅もお互いに分からない。

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