過去と繋がる
学生時代。
友人と二人で本屋を彷徨っていた。
児童書コーナーで懐かしい本を発見(失礼に当たるため、作品名は出せない)。
「あ、これ子供の頃うちにあったわ」
友人はその本の表紙を見て、
「あー、うわ懐かしい。
なんだっけ、ルドルフと…
イッパイデタナだっけ?」。
名著を汚すとんでもない野郎だ、と腹を立てていたのだが、数日後。
就活のために東京に向かう電車の中で、俺はイッパイデタナについて考えていた。
原作のシチュエーションから言うと、「俺の名前は」から繋がる「いっぱいでたな」なのだが、そこを生かしてしまうと一気に意味が成立しなくなってしまうので考慮しない。
というか、原作とは切り離して考える。
あくまでイッパイデタナと呼ばれる人物が「いっぱい出たな」と発言した状況を考察していた。
まず、「イッパイデタナ」というのは男性の台詞だと考えた。
女性なら「イッパイデタネ」の方がしっくりくるからだ。
現在はもっと多様性が認められる時代なのだが、当時社会経験のない偏見に満ちた未熟な俺はそう決めつけた。
余談だが、学生時代の別の友人は初めてピンサロに行ったときに絶頂に至る事が出来ず、担当してくれたお嬢さんから別れ際「いけなかったねー」、と言われた。
そいつは帰ってその「イケナカッタネ」をオカズに抜いたらしい。
話を戻す。
「出した側」は「イッパイデタナ」じゃない方だよな。
「イッパイデタナ」が出したあとに「いっぱい出たな」でも成立はするかもしれないが、いっぱい出した人に「いっぱい出たな」と声をかけた状況の方が自然に思える(なんだこの文章)。
では、いっぱい出した人は何者なのか。
いっぱい出ちゃうんだから若いに決まっている。
きっと、イッパイデタナの
今までこんなに出したことなどない、もしかしたら初めてかもしれない。
それに、登場人物の輪郭にちょっとだけ原作のエッセンスをお借りして……。
自分の出した結論はこうだ。
世間知らずのお坊ちゃん「ルドルフ(男)」が都会のスラムに迷い込んだ際、彼を助けてくれたそこらの縄張りを仕切るギャングのボス(ワイルドな男)に未知の快楽を教えられて精通させられてしまう。そこでボスが一言「いっぱい出たな」と、にやり……。
これは、文章にした事こそ初めてだが概ね当時想像していたままだ。
妄想がツボに入り、俺は電車で笑いをこらえるのに必死だった。
そしてその話を後日友人に話したら、「ああ、イッパイデタネだっけ?」と言われた。
違うよ!!「イッパイデタネ」だと女性の台詞になっちゃうから全然状況が変わって面白くないよ!それじゃエロすぎて笑えないよ!!
……そして、現在。
学生時代の「イッパイデタナ」のエピソードを思い出していて、既視感を覚えた。
「いやこれ
※正確には同じではない。
これだけ笑いのツボにぶっ刺さるんですから、そりゃあハマりますわな。
就活の面接は落ちた。
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