渋沢栄一と紅孩児 24/10/5


数年ぶりに幼馴染に会ってきた。


しばらく会わない間に子供が生まれたというので出産祝いを用意していたところ、ちょうどニュースサイトでこんな話題が。


「ご祝儀に渋沢栄一の描かれた新一万円は不適切?」


なんでも女癖が悪い事で有名な渋沢栄一は不貞を連想させるためご祝儀にはふさわしくないんじゃないか、という内容。


ちゃんと読んでいくと、そのようなマナーはまだ存在せず行き過ぎたマナー信仰への警鐘のような皮肉だったのだがちょっと水を差された気分になった。


受け取り手の気持ちが大事という話はわかる。


だが、俺はただ気持ちよく心からのお祝いを渡したいだけなのに。




そして久々に会った幼馴染。


子宝に恵まれ、いいパパになっているかと思いきや、二人で会えば昔と変わらぬ馬鹿話に花を咲かせる事が出来た。


「うちも大分賑やかだからね、いま」


「お前んち、子供多いもんな」


「まあね、本当はもう一人いるんだけどね」


「え?」


「一緒には住んでないんだけど。

 それについては酒が入ってないと話せねぇ」


「え?」


「ほんと修羅場だったんだよ、ここ最近」



「……それ“こ〇がい〇”じゃねえか!!」



伏字の正解はもちろん紅孩児こうがいじなのですが、本当の正解は書けません、このご時世。


ただ、そいつにとって渋沢栄一の描かれた新一万円札はこの上なくふさわしいと思ったので俺は気持ちよくお祝いを渡して帰って来られたとさ。

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