ミテミテ

 散り散りになった七色の光。全て追い切るのは無理がありました。でも、ひとつ見つけました。

 あの目立っているのは、赤色の光。さて、そのままなのかなにか起きるのか話しかけてみましょうか。もしもし?

 「なあに」不機嫌そうに赤い光は答えます。

なにか怒ってるの?

 「そりゃそうよ!急に知らないとこに着いたんだから!何処よここ!」

 確かに。ここはどこだろう。見渡す限り白、というか無。何も無い。赤い光が居るところが地面だろうとかろうじて分かるくらい。

 ねぇ、お名前を教えて。

「名前なんて無い!」じゃあ自由ってことだね。「はあ?」

 思い浮かべてみて。どんな風にでもなっていい。なりたい姿は?どんな自分だったらいいと思う?

「なりたい姿……」そう呟くと赤い光はだんだん大きくなっていきます。太陽が目の前にあるかと思うほどです。

 そして実が弾けるように赤い光がぱんと開きその姿を見せます。

「ガウウウウ……これが、あたし?」

 どっしり構えた四つ足、足の裏にはふにふにの肉球、ふわっふわで毛並みの美しいたてがみ、細長いしっぽ、大きすぎず小さすぎない翼、なによりぷっくりした唇に上がった口角の悪戯な笑顔。翼の生えた妖艶なライオン、とでもいいましょうか。きっとこの色気にあてられてもおかしくありません。こんな生き物はきっと誰も見たことがないでしょう。私だって初めて見ました。

「そうよ、そうだわ、あたしは幻獣リプリオとして目覚めたのよ」

 幻獣リプリオ?素敵だね。君は何をするの?

「そうね、せっかくならこの魅力を振り撒きたい。仲間が居れば一緒に悪戯も楽しそう」

 確かにそれだけ魅力的なら楽しくなりそう。じゃあ一緒にその仲間を探しに行かない?

「いいわ、どうせまだこの世界にあなたとあたししか居なさそうだから付き合ってあげる」

 じゃあどっちに進む?せーの、右「左!」

……あれ?

 リプリオは豪快に笑い、私もお腹を抱えて笑ってしまった。

 次は誰に出会えるかな?

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