パレット

ろぜ

プロローグ

その昔神様がおりました。

 神様はなんでも出来ました。でも、ひとりぽっち。

それもそのはず、この世界にはまだこの神様しか存在しませんから。

 相手もなく退屈だった神様は、まず自分の力で初めて"人間"を創りました。男の名前はアダム。

 姿は自分に似せましたが、眼差しの強さや逞しさ、優しさや素直さは彼独自のものでした。アダムは冗談や楽しい事も好きで、いつも神様を楽しませてくれました。

 アダムを創った事は成功だったと嬉しくなった神様はもう1人、人間を創りました。見た目と役割をすっかり変えて、イヴと名付けました。

 イヴは天真爛漫で、その笑顔は元気をくれました。感情豊かに過ごす姿は神様にもアダムにも癒しをくれました。

 3人で過ごす時間はひとりの時よりふたりの時より楽しいものになりました。

 だけど、アダムとイヴは人間で自分はただの神様で、その違いがなんだか悲しくなってしまい、あまりふたりと過ごさなくなってしまいました。

結局自分はひとりぽっちなのだと落ち込んだ神様は少し自棄になり、ふと考えついたのです。

 "自分の力を全て解放したらどうなるだろう"

神様は試しにやってみることにしました。

 すると神様の力は赤、青、紫、黄、緑、黒、白と七色の光の玉になってそれぞれ世界中に散っていきました。

神様の力はどこに行き着き、何になったのでしょう。どう育ったのでしょう。それともそのままでしょうか。

そして神様自身はどうなったのか。

 この世界のはじまりのお話。

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