悪魔を殺す俺は悪魔の頂点?まさかの悪魔王だったみたい!

カニ様

一体目 傲慢の王

……お前が、俺を支配するなんて…出来ると思ってたのか?



………はっ、我以上に傲慢だな。…気に入ったぞ。お前の物語、我が最後まで見届けてやろう。



“数分前”



この世界には悪魔なんてふざけた存在がいる。


悪魔?なんだそれって思うだろう。俺だって悪魔が現れるまでそう思ってたからな。


でも、いるんだよ。


悪魔は人に寄生してどんどん人格を乗っ取っていく。人は人格を完全に乗っ取られるまで悪魔に寄生されていると言うことも分からないクソ仕様だ。


だけど、俺が生まれる前に悪魔の寄生に対する抗体が出来て、人が悪魔に寄生される事は殆ど無くなった。それでも寄生される奴は一定数いるんだけど。


大体が欲望が凄い奴。簡単に言ったら性欲が強い奴が寄生されやすいって事だ。


でもこんなこと考えたって、俺には特別強い欲望なんてものは存在しないから悪魔に寄生されることなど殆ど無いだろう。




そう頭の中で適当な事を考えながら横断歩道を渡っていた最中だった。


目の前のビルが倒壊し始め、そのビルの倒壊を一人の人物が止めた。


少し長い髪を結んだ、背は170程だろうか、後ろ姿からはあまり分からないが、その人物は確かにビルの倒壊は止めていた。



普通ならビルの倒壊を止めている目の前の人物は人間じゃなく、さっき話した悪魔だと思うだろう。


その答えは半分世界で半分不正解だ。


目の前の人物の格好を見れば分かる。


黒のスラックスに白のシャツ。


黒のネクタイをして、白シャツの上から薄いコートを羽織ったこの格好は悪魔を滅する組織の証。


その組織の名前は滅悪教“めつあくきょう”。


…ここでさっきの半分正解半分不正解の答えを教えよう。


滅悪教の人間は全員が悪魔に対する抗体を打っている。だか、その抗体は一般の人間が打つものとは少し違う。その抗体を打てば、悪魔に寄生されるが、人格を乗っ取られる事はなく悪魔の力を行使することが出来る。そんな抗体だ。


滅悪教の人間は半分人間で半分悪魔なのだ。


だから素手でビルの倒壊を止めれるほどの力を持っているのだ。



俺は目の前の人物がビルの倒壊を止めてる間にその場から立ち去った。



「ふぅ、あぶねぇー。あと少しで面倒ごとに巻き込ませそうだったな。」


俺は路地裏でそんな言葉を零す。


そうして、家までの帰路を辿ろうとした瞬間、目の前に黒いモヤが現れて、その黒いモヤは俺の口の中に入り込んできた。


「…!ヴ…オ、エェ。グ、ソが…。」


次の瞬間にはもう俺の意識は闇に堕ちていた。




…次に俺が目を覚したのは真っ黒な空間に一つの禍々しい玉座がある。そんな空間だった。



「何処だ、ここ。」


俺がそんな言葉を零した瞬間、暗闇から声が響いた。


「小僧…。光栄に思え。我に選ばれたのだからな。」


「あ?何言ってんだお前。ってか、もしかして悪魔か?」


「如何にも、我は悪魔の王。誰もが恐る悪魔の中の悪魔。サタンである。」


「はぁ、そういうの良いわ。てめぇ今すぐ俺の身体から出ていけクソ悪魔。」


「…小僧、言葉は慎重に選べよ。小僧の生殺与奪の権は今我が握っているのだからな。」


「二度は言わないぞ。」


「……死にたいのだな、小僧。」


「殺してみろよ、出来ねぇくせによ。」


「………。」


「正論過ぎて言葉を返せないか?」


「小僧、主を恐怖で染め上げて支配しようとしていたが少し主に興味が沸いた。」


「…お前が、俺を支配するなんて…出来ると思ってたのか?」


「……はっ、我以上に傲慢だな。…気に入ったぞ。お前の物語、我が最後まで見届けてやろう。」


「勝手にしろ。」


そんな会話を最後に俺の意識は現実へと戻った。


目を覚ましたのは、気を失った路地裏ではなく、知らない部屋だった。



「あ、起きましたか?…ってすいません、仕事からの帰り道に倒れてたので、少し心配で。」


「あぁ、ありがとう。早速だけど、今何時なんだ?」


「今は21時ですよ。」


…十二時間も寝てたのか。


「迷惑かけました。礼は必ず返します。じゃあ俺は家に帰ります。」


そうして外へのドアノブに手を掛けた…瞬間。


ドアの先から刃物が突き破って、俺の頬を掠った。


次の瞬間、俺は声を荒げた。


「今すぐ逃げろ!」


瞬間、ドアは蹴り飛ばされ。ドアと一緒に俺は部屋の隅に衝突した。



…悪魔に寄生された馬鹿か…。他人にまで迷惑かけやがって。


そう思考した瞬間、俺を介抱した女性は悪魔に寄生された男に頭を握り潰された。


生々しい音がこの部屋に響き渡った。


グシャ…グチャ、グチュ…。


そこで俺は言葉を零す。


「あー、死にたくねぇな。」


瞬間、俺の頭に一つの言葉が流れ込んできた。



(我は傲慢だ。)


その言葉の意味を俺は理解してしまった。


そうして言葉を紡ぐ。



「超能力・傲慢」







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪魔を殺す俺は悪魔の頂点?まさかの悪魔王だったみたい! カニ様 @kiruki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画