サイコちゃんは変わりたい
@kurokiG
第1話① 自称サイコちゃん
「いやーまじかー」
心ちゃんがオレンジジュースのストローをくるくるしながら、何か言っている。話を聞いてほしいのであればそういえばいいのに。仕方なくこちらから聞いてあげる。
「心ちゃん何かあった。」
「花ちゃんから見て私ってどう見える。」
めんどうくさい質問が来た。
「心ちゃんは可愛くて、面白い子だよ。」
「そう見えちゃう。じゃあ上手いこと隠せているわ。私っていわゆるサイコパスかも。」
心ちゃんは嬉しそうな顔をしている。
「私って昔から人と違うなと思ってたんだよね。それが何なのか調べてみたらサイコパスなんじゃないかと分かったわけ。」
「そうなんだ。私はサイコパスが何なのか分からないけど、良いことなの?」
「いいことではないね。いわゆる異常者ってやつ。まいっちゃうよね。」
話を聞いている感じはあまり調べてなさそうだ。とりあえずかっこいい響きだから言っているのだろう。鞄からスマホを取り出しサイコパスと検索してみる。
「サイコパス診断テスト?」
「何それ?」
「なんか質問に答えるだけで、サイコパスかどうか分かるみたいだよ。」
「花ちゃん、ちょっと問題出してみてよ。私が完璧に答えてあげる。」
サイコパス診断は当てに行くものではないのではないか。まあ、心ちゃんの気が済むようにしてあげよう。
「第一問。あなたは友達の誕生日パーティーに招待されました。プレゼントを持っていくとしたら、何を選びますか?」
「そりゃもちろん、血まみれの人形だね。やっぱ、サイコパス的には相手を喜ばせるだけだと満足できないね。プレゼントをもらった相手の表情を楽しむのがサイコパスだよ。まぁこれがサイコパスってものだよ。」
心ちゃんはなぜか得意げにサイコパスの解説をし始めた。サイコパスってそういうことなのか?
「正解は、何も持っていかず、他の人のプレゼントを自分のものとして渡す。でした。」
「なるほどね。それもあるけど、まだまだだね。それはサイコパスになりたての人の回答だよ。真のサイコパスは自分で考えたものでいかに相手を苦しめるかが大切なんだよ。」
なぜ、苦しめることを前提にプレゼントを選んでいるのだろう。誰のためにもならない気がするが。
「第二問。あなたは夜中に自販機を見つけました。しかし、中の飲み物はラベルに何も書かれていません。あなたは、何色の飲み物を買いますか?」
「そうだね。やっぱり赤色だね。本坊が血を求めちゃってるんだよね。」
自販機に血が置いているわけないだろう。
「正解は、無色透明。無意識に混入物を警戒してるみたい。」
「あー。まだそのレベル何だね。真のサイコパスは毒物が効かないんだよ。まだまだ鍛錬が足りないね。」
そう答えると心ちゃんは飲み物を飲み干した。
さすがに言い訳がおかしくなってきた。サイコパスも毒は効くだろう。
「そろそろ行こうか。」
「えっ。行くってどこに?」
心ちゃんはぽかんとしている。
「どこってクラス会だよ。この後あるから先にお茶しようって話じゃないの?」
「いや、聞いてない。てか、呼ばれてない」
心ちゃんは必死にスマホを触っている。しかし、そのような連絡は全く来ていないようだ。自分の会話履歴を見せようと思ってスマホを見ると、さっきまで調べていたページが目に入った。
「サイコパスって、表面的には魅力的で外交的な性格なんだって。良かったね、心ちゃんはサイコパスじゃないよ。」
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