アサルトメイデン プランU18
銀次
ツグミ
「…ただいま」玄関扉のカギを閉めながら、ツグミは小さく言った。その言葉に返答する者はいない。母は一年前の中三の冬に病死。父は仕事で忙しくあちこちを飛び回っているからだ。
リビングに向かったツグミは、肩に掛けていた学生カバンを無造作にソファーに投げた。そしてブレザーをハンガーにかけてから、ソファーに勢いよく身を投げた。その勢いでソファーがバウンドしてカバンが床に落ちる。ツグミはそれを拾わずにただじっと見た。静寂が場を支配している。
…………どれくらい時間が経っただろう。何となく窓の方に顔を巡らせた。大粒の雨雫が次々と叩きつけられている。雨が降っているのだ。勢いと音からして、かなり強そうな雨だった。
ツグミはカバンを拾い上げてソファーに置き直すと、立ち上がってキッチンに向かった。穏やかではない精神状態でも、身体は栄養を求めて音色を奏でる。
冷凍庫を探り、中から弁当を一つ探り当てた。チャーハンとチキンソテーの弁当だ。冷凍庫内にはその他にも色々な種類の弁当が冷凍されていた。すべて、ツグミの父親が、一人寂しく暮らす娘の栄養状態を案じて契約した栄養定食の定期配達便から送られてきたものだ。
彼女は弁当をレンジで温めると、四人掛けの食卓についた。弁当のフィルムを剥がすと湯気が立ち上る。ツグミはチキンをプラスチックフォークで突き刺して口に運び咀嚼した。やけに薄味だった。次にチャーハンを食べた。パラパラとしているせいでフォークだと食べにくい。苦労して食べれば塩味がキツくたびたび手が止まる。嫌気がしてきたツグミは、席を立つと電気ポットのお湯をチャーハンに注ぎ、お茶漬けにして口の中に掻き込んだ。
食事という行為がただ栄養を摂取するためだけに実行されている現在のツグミには、この食べ方がちょうどよかった。
…テレリロリンリロレン… 先日機種変更したばかりの携帯端末が、チャットアプリに連絡が来たことを知らせる。
部活グループ
顧問:明日、ミーティングがあります。参加の可否を連絡してください
ツルるん:参加いたします。お時間は決定していますでしょうか
顧問:18時以降を予定しています。集合は16時がいいかと
もーもー:参加しますぅ
ツルるん:承知いたしました
火鳥:あたしもいく。
流れていくタイムラインに一通り目を通し、ツグミも文字を入力した。
木琴:参加します。
そのわずかな文字を入力、送信して、ツグミは天井を見上げてほうと息を吐いて目を閉じた。
空中では、新化粧品の巨大ホログラフィ広告が表示されていた。キャンペーンガールである人気女優が新製品の色を強調するような柔和な笑みを浮かべ、消費者の購買意欲を誘っている。
その足元を何台もの車が行き交う。そのなかの一台、全面スモークガラスのワゴン車が道路を右折した。
「ん、んぅ…」揺れを感じたツグミはゆっくりと目を開けた。後ろの席から、部活動の仲間の論争らしき声が聞こえてくる。ツグミは目を細めてシート越しに後ろを見た。
「だーかーらー、あたしはそういう可愛い系の服が似合わないんだよ!」
「そんなことないにぃ☆ この服は絶対にキャッソーちゃん似合うはずだよぉ☆」
金色に染めた長髪の小柄な少女、キャソウェリィが吠えた。それに対して、少女の隣座席に座る平均よりもかなり身長が高く肉付きもよい、明るい茶髪をツインテールにした少女モアは、全く怯む様子もなく手に持った携帯端末の画面をキャソウェリィの眼前に突きつけている。その画面には、ビスクドールが着るような服を現代風にアレンジした、カワイイロリータファッションが表示されている。
キャソウェリィはひきつった顔でモアを見た。このままでは、キャソウェリィはカワイイファッションの餌食となる。そうなればイメージが損なわれる。自分はクール系で攻めるのだ。絶対に阻止しなければならない。そう考えた彼女は、シート越しにこちらを見ているツグミを捕捉し、話を振った。
「あんたもそう思うだろ? あたしにこういうのは似合わないって。ほら、モアも見せてやんなよ!」
言われて、モアが身を乗り出してツグミに画面を見せた。その豊満なバストが、ツグミの方へと向けていたキャソウェリィの頭を叩く。
「あー、確かにこれは……」ツグミは、画面に映る水色のフリフリがたくさんついた服を見て、わざとらしく唸ってから答えた。「すっごく似合いそうね。カワイイ!」
その言葉を聞き、キャソウェリィの顔が絶望に染まり、普段から微笑みを絶やさないモアの顔がよりいっそうの喜色を浮かべた。
「そうだよね!そうだよね! やったあ☆」モアがその大きな身体を弾ませる。車のサスペンションが軋みを上げた。
「うるさいですよ! さっきから! 少しは静かになさい!」車の助手席から鋭い声が飛んできた。チームのリーダーであるクレインが、仕事前に騒ぐチームメイトを注意したのだ。
「うぅ……、ごめんなしゃい」肩を落とし、ハムスターのように端末を持った状態でモアは言った。しかし見てほしい、端末の画面はクレインの方を向いているではないか。モア自身、心の底から謝っている。それは事実だ。しかしそれ以上にカワイイ布教への思いが勝っていた。
「まったく、いつもいつも」呆れた声で言うクレインの視線はモアの端末に向いている。そして彼女はため息をひとつ吐いてから言った。「わたくし的には、このエメラルドグリーンの服が彼女には似合うと思いますわ」
モアの表情が一気に明るくなった! そしてキャソウェリィの表情はさらに深い絶望に沈み、彼女は神への恨みを口にした!
車内のボルテージが最高潮に達しようとしたその時、ワゴン車がゆっくりと速度を落とし、左折して完全に停車した。全員の顔色が変わり、先ほどまでの騒ぎが嘘のように静まり返る。
少女たちの手首に装着された携帯端末、コムリングが微振動して着信を告げる。各自がリングを操作し、応答する。作戦前の最後のブリーフィングだ。
『聞こえてる? 見えてる? ハァイ、お嬢さんたち、ハミングバードのお姉さんだよ』
陽気な声がコムリングから発せられると同時に、ホロ映像が空間に投影され、高い鼻にソバカス、ブリーチしてプラチナ色になった髪を後頭部のやや高い位置でまとめた女性が映し出された。チームの情報収集と管制を一手に引き受ける情報科所属オペレーター、ハミングバードだ。年齢はチームの少女たちに比べて五歳ほど上である。
『さて、それじゃあ仕事の説明に移るよ。まず、今回の目的は二つ。不良外国人グループに監禁されている人物一名の救出と、連中の違法薬物工場の破壊だ。後者については可能な限りで良いよ。あ、でも、やったらやった分だけボーナスはつくから、ほしいなら頑張りな』ハミングバードがカラカラと笑う。キャソウェリィが凶悪に八重歯をむき出しにして笑い、モアが顔の近くで両手の握り拳を構えて鼻息荒く気合いを入れる。
そしてクレインとツグミはピクリとも笑わずにブリーフィングを聞き続けた。
五分後、バンのスライドドアが勢い良く開かれた。黒くゴツゴツとしたブーツが次々と地面におろされる。ツグミたちは互いの様子を確認しあい、うなずきを返す。全員、目元をゴーグル型デバイスで覆っていた。服装は、四人が四人ともブラウスに丈を詰めたチェックのスカートだ。その足は黒のレギンスに包まれており、手にはグローブが、膝と肘にはプロテクター、そして最後に胴体を保護する防弾チョッキを身に付けていた。チームは外見から見てとれる個性を限りなく減らしていた。違いといえば、それぞれの体格と髪型。それと装備している銃火器くらいだ。
クレインが親指と人差し指を二度擦り合わせた。すると、ゴーグルの透明なレンズに個人のバイタルサイン、銃の装弾数、チームメンバーとのリンク確立を示すアイコンが表示された。
一人称視点のビデオゲームを連想させるインターフェースを確認すると、ツグミは自身の手のひらを見た。その手をストラップで身体からぶら下げたアサルトライフルの持ち手に添えると、新たなホログラムが浮かび上がる。ワイヤー状の細い線が枝分かれと縒り合いを繰り返し、銃をどのように操作すればよいのかを使用者に直感的に理解させる。
この仕様にツグミもかなり助けられた。はじめの頃はおぼつかなかった銃器の操作も今では堂に入っている。レバーを引き、薬室に弾丸が装填されているのを確認する。続いて銃身下部に装着されたバヨネットの固定を確かめる。問題ない。ツグミは仲間に向かって準備完了のサムズアップをした。
「行動開始」クレインが前進を意味するハンドサインでチームメンバーに指示を出す。
四人は音もなく動き出した。少女たちの気配が闇に溶けていく。
ブーンブンチャカポコチャカポコ、ブーンブンチャカポコチャカポコ
伝統とテクノを融合させた異国のニューエイジミュージックが盗品のスピーカーから垂れ流されていた。スピーカーの周囲には廃品のソファーと空のプラスチックケースを逆さまにして作ったテーブルが置かれている。
浅黒い肌をした二人の少年がソファーに座りながら談笑をしていた。その手には火の点いたタバコがある。当然ながら二人は喫煙を許可される年齢ではない。しかしそのような事はこの場では関係がない。学校も教師も警察も、この場所まではやってこない。少年や少年の所属するグループにとって、この建物は楽園だった。
少年の片割れがふと顔を上げて立ち上がった。ふらふらとした足取りで建物の外に出る。月明かりに照らされながら、彼はズボンのチャックを下ろした。放物線を描いて建物の壁にシミができる。最後まで出しきった少年は身震いをしてからチャックを引き上げた。
パシュッ
軽く手を叩くような音がした。次の瞬間、少年の額には真っ赤な花が咲いていた。少年の全身から力が抜ける。背中から地面に倒れる。その身体を豊満なバストと力強く包容力のある腕が受け止めた。少年だった物が月明かりの届かない暗闇に引きずられていき、少しして大柄な体格の少女モアが入れ替わりに姿を現した。
仲間が用足しにしては長い時間戻らないことを気にしたもう一人の少年が様子を確かめようとソファーから立ち上がった。
パシュッ、パシュッ
しかし眉間と左胸が赤く染まったかと思うと、驚いた顔をしてまたソファーに座り込んでしまった。その拍子に手に持っていたビンが手からこぼれ落ちて地面にぶつかり割れた。割れた音はスピーカーの大音量にかき消され、建物の奥にいる大勢の仲間の耳には届かない。
少年の骸の横を、四人の少女が通りすぎていく。
建物の中心部には、異国の男たちが大勢いた。彼らの大多数は若い。そのほとんどが20代にも満たない若者ばかりだった。
グループのリーダー格と思わしき屈強な肉体の浅黒い肌の男が怒鳴った。作業に遅れが出ていたのだ。彼の仕事はこの場所で生産される違法薬物が滞りなく梱包され出荷されるのを監督すること。無理をさせてでもノルマをクリアしなければならない。なぜなら、男はこのグループの中で唯一ヤクザと盃を交わしていたからだ。彼はヤクザに自分たちグループの有用性をアッピールすることで居場所を確保してきた。
数十年前、規制が緩和され大量の外国人が流入した。この場にいる彼らは皆、それらグループからはみ出した者たちの子孫だ。故郷ではルールから逸脱したところにあった。それは新天地にたどり着いた現在でも変わらない。転がり堕ちるのは簡単だが、登り詰めるのは容易ではない。それはこの街でも同じことだ。凝り固まった明確なルールがない分、もっと困難かもしれない。
街は、神話に語られる最初の島のように混沌そのものから出来ていた。
建物の廊下から、火薬の破裂する音が響いた。音は素早く建物に響き渡った。。
「なんだ今の音は」音は男の耳にも届いた。誰かが遊びで爆竹でも破裂させたのか? 男は近くで作業をしていた少年二人に様子を見てくるように指示を出した。彼がここから離れれば、仲間たちはすぐにサボりだす。これ以上能率は落とせない。
再び破裂音が聞こえた。今度は先ほどよりも大き音だ。音が近づいてきているのだ。男は廊下に飛び出した。二人の少年は、揃って廊下の汚い床に倒れていた。その胸は黒く染まっている。血だ。切れかかった蛍光灯のせいではっきりとした色はわからなかったが、男は直感でそれが血液だと理解できた。だが、少年二人がそんな状態で倒れている意味まではわからなかった。彼は視線を上げた。原因がすぐそこで立って彼を見ていた。
小柄な少女のシルエット。それはゆっくりと男に近づいた。本能に訴えかける強いプレッシャーを放ちながら、少女は左手をスライドさせた。
ガシャッ! 音が響く。薬室に散弾が装填される音だ。
その音を聞いた男は放心状態から立ち直ると、その場で振り返り大急ぎで元来た倉庫の方へと逃げ出した。皮肉なことに、襲撃者の出した音が彼を現実世界へと引き戻してくれた。
男は倉庫に飛び込むと、驚いた顔の仲間たちに怒鳴った。
「仕事を止めろ! カチコミだ!」ぜいぜいと息を切らしながら告げる男に、周囲は困惑しながら状況の説明を求めた。
「だから! すぐそこにいるんだよ! 早くいけよ!」
ただならぬ事態であることを察した幾人かがバットにナイフ、メリケンサックや鉄パイプを手に取り廊下の外に出た。まだ多くのメンバーは事態が飲み込めず、仕事をするでも戦いの準備をするでもなく呆けている。
3人の部下がさらに廊下に向かった。規則的な破裂音が木霊して静かになる。
また数人の部下が廊下に消えていった。再び破裂音。そしてすぐに静かになる。それが四度繰り返されると、その頃には正体不明の襲撃者を迎撃しようとする勇敢な者は誰一人として残っていなかった。アウトローを気取る少年たちのなかで、自己犠牲の精神を備えた勇敢な者は存在しなかったようだ。
ゴツ、ゴツ、ゴツ。ブーツの重い音が近づく。そして廊下から少女が姿を現した。
「は?」誰だあいつは! 驚きでまの抜けた声を出した男は心の中で叫んだ。自分が廊下で見た少女と、今目の前に立つ少女は確実に別人だった。まず体格が違う。廊下にいた少女は細身で小柄だったが眼前の少女は明らかに身長が180センチ以上ある。しかも服の上からもわかる程に筋肉が浮き上がっている。今にもはち切れそうだ。少女は両手で抱えていた四角い金属柱を前方に向けた。
男の全身の毛穴から汗が吹き出す。「あれは……!」男には、そのシルエットに見覚えがあった。
あれは1年前のヤクザ事務所でのこと、盃を交わしたヤクザが企業との裏取引で手に入れたと自慢をしていた。そして実際に自分の目の前で裏切り者がどうなるかその威力を実演して見せつけてきた。
人間など容易く血煙に変えるほどの過剰な威力を秘めた怪物の名は、ライメイ3型マシンガン。個人携行火器としては過剰すぎる代物だった。
男は仲間たちを押し退けて逃げ出した。
引き金が引かれる。轟音と悲鳴が場を支配した。
「なあ、皆なにやってるんだろうな。何かこっちにまで声が聞こえてくるぜ」
「さあな」眉毛のない少年は素っ気なく言った。
「でも気にならないか? みんな俺たち抜きで楽しいことしてるんじゃないのか? ずるくね、それって」下膨れ顔の少年はうんざりする相棒に構わず言葉を続けた。
「知らないよ。リーダーがまたサボってるやつをどやしてるんじゃないのか。そんなことより真面目にやれよ。俺たちまでうるさく言われる」その言葉に周囲の少年たちが笑い声を上げる。真面目であるということは、彼らのグループでは軽んじられやすかった。誰かの指示に従ったり規則に従うのはダサい。そんな共通認識が、非行少年たちをひとつのグループにまとめていた。
下膨れの少年が頭を揺らしたかとおもうと、ふらふらと踊り出した。そして背中から勢いよく倒れ、動かなくなった。
「お、おい、大丈夫かよ」倒れた少年を心配した仲間が駆け寄る。そして少年の顔を見て悲鳴をあげた。眉間に穴が開き後頭部が吹き飛んでいたのだ。高威力のライフル弾による攻撃だった。風切り音が三度聞こえた。死んだ少年に気を取られていた彼らはその音に気付かなかった。倒れた少年の様子を確かめていた一人が背中を撃たれた。彼は絶命して最初の少年に覆いかぶさった。
他のもう二人の少年は、金属バットを掴んで物陰に隠れた。風切り音が聞こえてきた方向の通路は真っ暗闇。誰かがいたとしてもその気配すら感じ取れない。二人はごくりと唾を飲み込み待った。敵は自分たちを殺そうと近づいてくるはずだ。のこのこと姿を晒したところに不意をついてバットを叩き込んでやる。少年二人は互いに目配せをすると、敵の接近を待った。
キイィ
背後の廊下にある扉が耳障りな音をたてて開いた。二人は勢いよくそちらに振り返る。背後を取られた。完全にノーマークだ。
パシュ、パシュ。パシュ、パシュ。サイレンサーによって低く抑制された銃声がして、九ミリの弾丸が二人の頭と胴体にそれぞれ撃ち込まれた。少年たちは抵抗すら許されずに絶命した。
「お見事。また腕を上げましたね」クレインが暗闇から歩み出て、二人の少年を倒したツグミを褒め称えた。
「たいしたことない。背中を向けてたんだからこれぐらい簡単。そうでしょ」ツグミはつまらなそうに拳銃をホルスターに収め、アサルトライフルを握った。ゴーグルの視界端に小さなマップと赤い点が表示されている。目的地を示すアイコンだ。
ツグミとクレインは扉の両脇に張り付いた。
「どっちから行く?」ツグミがクレインに訊ねた。喉元に装備された咽頭マイクのおかげで二人はひそひそ声でも問題なく意思疎通ができる。
「援護します。お先にどうぞ、ポイントマン」
二人は頷き、動き出した。
クレインがドアノブを回した。内開きの扉が開いた。そこにツグミがダイレクトキックを叩きつけ、室内にエントリーする。前方に人影はない。銃口を左に向ける。こちらも同様だ。最後に右側を見た。扉の後ろも忘れずに確認した。クレインもツグミの後に続く。彼女のライフルは閉所では取り回しが悪い。クレインはライフルを背中にまわして拳銃を握っている。二人は素早く室内を見渡して敵がいないことを確認すると警戒を解いた。
「あそこに誰かいるみたい。あたしが確かめる」
ツグミが部屋の陰でうずくまっている少女を見つけた。彼女はうなだれる少女の顎に優しく手をやり人相を確かめた。そして振り返りクレインにうなずいた。目標の人物を発見したのだと。
「ハミングバード、聞こえていますか。モッキンバードが目標と思われる人物を発見しました。映像を送ります」
クレインは腰のポーチから携帯端末を取り出すと、少女の顔を撮影して遠く離れた指令ルームでチームを見守るハミングバードに向けて映像を送信した。少女の顔はこわばり目はきょろきょろと落ち着きなく動いている。自分を助けに来たらしき重武装の同年代少女の存在に理解が追い付いていないのだ。
『確認したわ。その娘で間違いない。彼女を回収してその場から直ちに撤収して。モアとキャソウェリィにはこちらから伝えておく。入ってきたときと同じ場所から出ていくことになるから、途中で合流できるように見取り図はよく確認しておいて』数十秒後、ハミングバードの返事が来た。少女は目標の人物で間違いはなかった。少女を確保した今、クレイン率いるチームがこの場に留まる理由はない。ツグミとクレインは足早にその場を離れた。
※※※
キャソウェリィが近くのテーブルに置かれたアルコールの瓶を工場のあちこちに投げつけた。梱包前の薬物にアルコールが染みこみ商品価値が大きく損なわれていく。
「さあてと、キャンプファイヤーの時間だ。フォークダンスでも踊るかね」言いながら、彼女は慣れた手つきで散弾銃に弾丸を装填、コッキングした。そして銃を腰だめで構えて発砲。竜の息吹めいた火焔流で工場内の薬物を焼き尽くす。反動でキャソウェリィの体が後退する。モアがそれを体で受け止めた。
「にょわ! 熱っちゅ! 御髪が燃えてる!」なんということだ! 舞った火の粉がモアのツインテールの毛先に燃え移ったではないか! モアの豊満な乳房がキャソウェリィの後頭部を叩く!
「何やってる! だからあれほど髪はまとめろって言ったんだ!」キャソウェリィは後頭部をさすりつつ、モアの毛先に燃え移った火をグローブで握り消した。
『二人とも聞こえてる? モッキンバードとクレインは荷物を回収して撤収を始めた。あなたたちも合流して』
ハミングバードの声がキャソウェリィとモア、両名のイヤホンから聞こえた。
「ちぇっ、もう終わりか。わかったよ。ハミングバード、こっちも撤収する。ちゃんと録画はしてるでしょうね!」
薬物に引火した火が燃え広がる光景を、少女たちのつけたサイバーグラスがリアルタイム映像を撮影している。オレンジ色が素早く工場内へと広がっていった。
『問題ない。ばっちりよ。ボーナスは期待して』
ハミングバードの言葉を聞いたキャソウェリィはニイッと口角を上げて歯を見せた。
「ようし! モア、行こう! ほら、動いて動いて!」キャソウェリィは手をモアの尻に押しつけてぐいぐいと撤収を促す。モアも押されるのに合わせ動き出す。
積み上げられた違法薬物に次々と火が燃え移る。工場の隙間から入り込む外気を取り込み
怪物はさらにその火勢を増していく。二人の少女は燃える倉庫から足早に立ち去った。
「誰なの? どこに連れていくの」
クレインにシャツの背を掴まれ無理やりに屈まされた少女が不安げに訊ねた。
クレインは少女にわずかに目をやり、すぐに目線を前に戻す。クレインは拳銃を片手で構え、少女を護衛していた。ツグミはその前方で周囲を警戒しつつ脱出を先導している。二人とも何も答えない。
「何とか言ってよ!」少女が叫ぶ。誘拐され、その事実を受け入れる前に今度は武装した同年代少女に連れ出されている。現実に何が起こっているのか、それすら把握できていない。彼女のストレスはコップの縁ギリギリ、今にもあふれ出そうだった。
「あんまり騒がしいと敵に見つかる。静かにさせて」
クレインは聞えよがしに舌打ちをした。「我々が誰なのかは教えません。知る必要もない。あなたが認識しておくべきなのは、おとなしくしていれば家に帰れる。それだけです」
「愛情深い親に感謝ね」ツグミが鼻で笑った。
この二人は家庭環境に問題でもあるのだろうか。
ツグミとクレイン。モアとキャソウェリィ。メンバーはほぼ同時のタイミングで合流地点に到着した。
「よおモッキンバード、上手くいったか?」
「もちろん。そっちはどうなの、キャソウェリィ」
「もちろん、燃やしてやったよ。全部ね。この娘と一緒に」キャソウェリィはモアの尻を叩いて笑った。モアが小さく悲鳴を上げ、キャソウェリィを睨む。
「二人とも、まだお仕事は終わっていませんよ。ちゃんと周りを見てください」クレインがチームの緩んだ空気を引き締める。
「さあ、早く乗って」少女を待機していた自動車に押し込んだクレインは、ドアを閉めようとした。
その時、物陰から人とは思えないような絶叫を上げながら男が飛び出した。男は両手でハンマーを振り上げている。鉄を打つような長柄のハンマーだ!
間一髪、クレインはドアから手を放し、バックステップでハンマーを回避。ホルスターから拳銃を引き抜き、九ミリ弾を撃ち込んだ。三発の弾丸が胴に命中。だが男は気にする素振りもなくクレインに接近を試みる。
仲間の危機を察知したツグミは、車のフロント側から開け放たれたままの右後ろドア側に回り込み、体当たりでドアを閉めた。そして車体をあらかじめ定めていたリズムで乱暴にノック。急発進を命じた。車はすぐに地面をこすり、バックで工場の敷地内から退避する。
〈距離が近すぎる!〉ツグミはクレインへと迫る男の背中に拳銃弾を撃ち込んだ。しかし男は止まらない。
「なんなんだお前らは! 商品を燃やして、女も連れ出しやがった。何でこんなひどいことができるんだ!」男は叫び、ハンマーを打ち鳴らした。そして再びの振りかぶりだ。痛みを感じていない。目は血走り、体温は異常なほどに上昇している。薬物の過剰摂取だ。男は部下を置いて逃げたあと、先回りした火災に阻まれながらもなんとか工場から抜け出した。そしてその時に麻薬が燃えて発生した有害ガスを大量に吸入してしまったのだ。もはや正常な状態には戻れない。あとは限界まで動き回り心臓が破裂して死ぬか、外傷を受けての失血死かのどちらかだ。
だが、少女たちに男の自滅を待つ暇はない。彼女たちの目が、耳が、肌が、男と似た状態にある薬害ゾンビーの接近を察知していた。
「ハミングバード! 予備の車両はいつ到着する⁉」キャソウェリィが怒鳴る。
『三分で到着する。それまで持ちこたえて』状況をモニターしているハミングバードが応えた。作戦状況を俯瞰して読み取り、現場にとって最良の援護を提供するのが彼女の役割だ。
「くそ、なんでそんなに時間かかるんだよ」キャソウェリィはぼやきながらショットガンの引き金を引いた。迫るゾンビどもを警告射撃で散らす。そのすぐ近くではハンマー男がまだ暴れている。そこに地面すれすれまで腰を落としたモアの超低空タックル。男の腹にモアの全体重が叩き込まれる。男がくの字に体を折り曲げる。モアが男との位置を入れ替えた。目にも止まらない体さばきだ。彼女は男の胴体を両腕でしっかりと包み、そして勢いのまま流麗なブリッジ姿勢を決めた! 男の頭が地面に叩きつけられた。その危険性から、いまや封印されて久しい暗黒レスリング技。ベリー・トゥー・バックだ!耳を塞ぎたくなるような異音が鳴り、地面に叩きつけられた男は首がおかしな方向に曲がりピクリとも動かなくなった。
モアはおのれが殺した男の有様を見て罪悪感に駆られた。
「何をやっているのですか、立って、立ちなさい。モア!」ライフルで応戦しながらクレインがモアの肩を揺する。
「使っちゃった。ダメなのに、使っちゃった。うう…」モアは目に涙を浮かべ、レスリングの技で人を殺めた事を激しく悔いた。人々を楽しませるために磨いてきた技を、仲間を守るためとはいえ、このような不良外国人排除のために使ってしまった。 モアは誇りを傷つけられた気分だった。だが悲しんでばかりはいられない。彼女は涙を振り払い、機関銃を構えた。ゾンビたちは機関銃の圧倒的制圧力によって後退を余儀なくされた。
ツグミが掴みかかってきたゾンビの一人の腕を振り払う。そしてアサルトライフルの銃身下部に装備したナイフの銃剣で相手の太ももを、腕を、切り裂き、その胸に回し蹴りを叩き込んだ。ゾンビが吹き飛ばされた。引き金が引かれ、ゾンビたちは胸を撃ち抜かれて倒れてゆく。躊躇はなかった。仄暗い高揚感がツグミの心中を満たす。そうだ、どれだけ暴力を振るったとて、ここでは誰にも咎められる事はない。ツグミの口角が無意識に吊り上がった。弾丸が敵の頭を砕くたびに、ナイフが肉を切り裂く感触が手に伝わるたびに、ツグミの体は震えた。
「おい、何やってる! 出すぎだ!」キャソウェリィが甲高い大声を発した。
フォーメーションを崩し突出し始めたツグミに警告をしたのだ。だが、ツグミには聞こえていない。危険な状態だ。今のツグミには目の前の敵しか見えていない。
ギュイイイイ! アスファルトを切り付けながら、黒色ボディにスモークガラスのバンが死屍累々の工場敷地内にエントリーしてきた。
バンは横滑りで少女たちの後方に停車。その四角いボディからは想像もできない動きだ。バンの扉が勢いよく開かれる。
「撤収! みんな乗ってください!」クレインがチームメンバーに乗車を促す。キャソウェリィとモアが指示に従いじりじりとバンに向かって後退する。うかつに背中をむければゾンビどもはこぞって少女たちに襲い掛かるだろう。
三人の少女がバンに乗ったが、最後の一人であるツグミはいまだバンから離れた位置にいた。彼女は銃のマガジンを入れ替えてさらに発砲を続けた。
「ほんとに何やってるんだ。あいつは!」最初にキャソウェリィが動いた。
三人はツグミを連れ戻そうと慌てて飛び乗ったばかりのバンから飛び出していく。クレインとキャソウェリィが周りの敵を散らし、モアがツグミのライフルを手からもぎ取り体を抱え上げた。
「よし! 揃いましたね⁉ 撤収です!」
クレインの号令でチームが素早くとんぼ返り。少女たちは今度こそ全員そろって乗車した。ゾンビーどもが車に群がってくる。バンの運転手はアクセルを目いっぱい踏み込み急発進をした。バンは工場の敷地から脱出し、あっという間にゾンビーの群れを置き去りにする。
こうして、武装少女グループ、チーム1-7の作戦は成功した。
少女たちの勇敢な行動を常に撮影していたドローンも、黒く広大なスクリーンに映る星々に紛れ飛び去って行った。
※※※
「さあ! 皆さまいかがでしたか。これが当社の新製品の一つ、戦闘員育成プログラム マントルプランでございます!」
プレゼンターの言葉がヘッドマイクで増幅され、プロジェクターを見つめる観客たちへと届く。ステージ上で垂れ下がるプロジェクターに映るのは、薬物ゾンビの群れと戦う少女たちの姿だった。
「彼女らは当社委託先によるテスター公募から選出された学生たちです。つい半年前はまったくの未経験でしたが、ご覧いただきました通りに今ではプロ顔負けです!」プレゼンターがここぞとばかりに誇張して自社の商品をアピールする。
「だが本当なのかね、キミ。あんな小さいゴーグルでマインドコントロールができるとは信じられん」親から引き継いだ会社の統制に頭を悩ませる若社長が高圧的に質問した。
「ご質問ありがとうございます。疑問はごもっとも、確かに今までのマインドコントロールでは設備投資がかかりました。費用もかかるし対象を大人しくさせておく必要もあります」そこでプレゼンターが言葉を切った。
「しかしこれは従来の物よりも安価で手軽なものなのです」プレゼンターの言葉を継いで、舞台そでからチェック柄のベストを着た丸メガネの男が姿を現した。
「おお……」「あれはコモド博士?」「トーワメディテックに在籍しているとは聞いていたが……」
観客たちがにわかにどよめく。
コモド博士と呼ばれた丸メガネの男は心理学、脳神経学双方に精通した有名な人物であった。
「マントルプランは特定の設備機器を示す言葉ではありません。これは特定手順の繰り返しによる刷り込みや条件付けや、性格プリセットによって大別された人格データを用いたマインドコントロールの簡略化。それを補助するデバイス。定期的な服薬による肉体強化。スムーズな定着を促進する行動計画の立案。マントルプランはこれら一連の行為、マインドコントロールそのものが商品なのです。時代は変わりました。今やマインドコントロールも外部委託でのパッケージングの時代です」コモド博士がプレゼンターに目配せをした。
発言者がプレゼンターへと戻る。
「それでは、本商品、戦闘員育成プログラム。マントルプランの受付を始めます。カチグミの皆々様とのますますのご縁を願い、今回かぎりの特別価格での提供となります」
プレゼンターの言葉と同時にスクリーン映像が切り替わりでかでかとしたカウントダウン表示が出現、受付終了までの時を刻み始めた。
会場のカネモチたちはすぐさま購入エントリーを始めた。一代で成り上がった若手経営者は自分の護衛として少女を侍らせるため購入した。会社を受け継いだ若社長は、自分に従わない社員を従順にするため購入を決意した。その他大勢のカネモチたちが私利私欲のためマントルプランを必要とした。
「あとは任せた。私は部屋にいる」そう耳打ちして、コモド博士は自身の控え室に戻った。彼は座席のカネモチどもを軽蔑的な目で見た。
〈あんなものに金を出すとは、バカな連中だな〉コモド博士からすれば、マントルプランで育成した少女たちアサルトメイデンは小遣い稼ぎの道具に過ぎなかった。マントルプランに使用されている技術は、コモド博士が仲間たちと共に創造した生体兵器に使用した技術の中のほんの一部だ。彼は数日後に振り込まれる今回のマントルプラン販売のインセンティブに思いを馳せた。
※※※
「ただいま……」
アルバイトが終わり、ツグミはマンションに帰宅した。帰った事を告げる言葉は暗闇に吸い込まれていく。ツグミは靴を揃え中に上がり、リビングに向かう途中で湯船にお湯を入れた。これで十分後には入浴できる。
ツグミはカバンを下ろし、上着をハンガーにかけ、ブラウスとスカートを脱いでソファーに座り込む。彼女は無気力にうなだれ、顔を手で覆った。音が聞こえる。テレビはついていない。窓も扉も開いていない。だけども確かに聞こえる。鼓膜が激しく揺さぶられるような銃声が、ゾンビどもの耳にこびりつくようなうめき声が、ツグミには確かに聞こえた。
心臓の脈打つ音が聞こえる。これは誰の音だろうか。頭部が鉛玉に砕かれた少年たちのものか、狂える男たちのものか、それともまさか自分の鼓動なの?
ツグミの手が震えだした。必死に抑えようとするが今度は全身が震えだしてくる。かちかちと歯も音を立てる。
そこに浴槽のお湯が沸いたことを知らせるチャイムが鳴った。
彼女はふらつきながら立ち上がり、その場で服を脱ぎ捨てた。浴室に入りレバーを倒すと温いお湯がツグミに降り注ぐ。徐々に温度が上昇していき頃合いの温度で調整される。
ツグミはボディーソープを泡立て手に取り体を洗い始めた。足から胴体へと徐々に上がっていく。両手にはまだ溢れかえる量の泡が残っている。彼女は残った泡で両手を丁寧に擦り合わせて洗い始めた。指の間を爪の間を手のひらを何度も洗った。何度も何度も何度もなんども!
泡がシャワーで流される。手には汚れ一つない。ツグミはそれでも手を洗い続けた。全身洗われてキレイな状態だ。それでも彼女にはまだ洗い足りないように思えた。キレイなはずなのに気になって仕方がなかった。その行為はツグミが浴槽に肩まで浸かっても続いた。何かがおかしい。何とは言えないが気分が悪い。そんな感覚がつきまとう。
何処からかうめき声がまた聞こえた。ツグミは目を閉じた。迫るゾンビどもの姿がフラッシュバックした。驚いて目を開ける。そして自分の両手を見つめた。
「違う…」誰にいうでもなく言葉を吐き出す。「楽しくなんかなかった! 楽しんでなんかいない!」否定の言葉が浴室に反響する。ツグミは顔をお湯に沈め肺にため込んだ空気をすべて吐き出す勢いで叫んだ。吐き出された息が泡となり水面を波立たせる。そんな行為を何度か繰り返したツグミは、湯舟から立ち上がった。そのころにはお湯もすっかりぬるくなっていた。ツグミは体の水滴をおおざっぱにふき取り、バスタオルを体に巻いた。そしてリビングに戻ろうと、足を踏み出したがそっとその場でもどした。人の気配がする。キッチンから物音が聞こえたのだ。
ツグミは足音を殺し、恐る恐る様子を窺った。冷蔵庫が開けられて、その前で背中を丸めながら中年男性が、スーパーマーケットの袋からケーキや納豆、スシパックを次々と放り込んでいた。
ツグミは安心して溜息をつき、男に声をかけた。
「おかえり、パパ」
声をかけられた中年男は振り返りツグミの姿を認めると、にっこりと笑った。目元からはツグミとの血のつながりとハードワークによる疲れが感じ取れる。
「ただいま。元気だったか? ケーキを買ってきた。夕食のあとで、一緒に食べよう」
***
「あらあら、どうして泣いているの?」
ソバカスの女が円柱状の酸素カプセルめいたポッドの透明な表面を撫でた。その指先には、強化プラスチック製のフタ越しに一筋の涙を流している少女が眠っていた。長身で筋肉質な肉体を持つその少女は、夢の中にいる。自身の選択への後悔。あったかもしれない平和な日常。あり得たかもしれない選択と実際の選択、いくつもの分岐を、彼女は眠りの中で常に想像して苦しんでいるのだ。
「調整の進捗はどうかな」部屋の扉が開き、コモド博士が入ってきた。
「身体面に問題はなし。あとは頭の方をチェックすれば終わりです」ポッドから手を離したソバカスの女は近くのモニターを確認して答える。
それを聞いたコモド博士は顎に手を当て思案顔で少しの間黙り込み、なにかを決断したらしく大きく頷いた。
「よし、それならマインドチェックは省略、調整は切り上げろ。彼女を起こしてくれ」
「新しい仕事ですか?」
「その通り。知り合いがトラブったらしくてな。そいつのペットを捕まえるのに力を借りたいそうだ」
「なるほどなるほど、そうですか。それではすべて切り上げて調整は終了。彼女を起こしましょう」
ソバカスの女がモニターのタッチパネルを操作。ポッドから駆動音が響いた。
記憶を奪われし少女は目を覚ました。思い出は箱にしまい込まれ、暗く深く重苦しい黒い沼の中に沈んでいった。さあ、仕事の時間だ。
アサルトメイデン プランU18 銀次 @Aron04
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