第33話 前田、運転手に!
【カフェバー「Route72」】
夜、カフェバー「Route72」で、テーブル席に座っている真彩、前田、そして、店主の松本。
テーブルの上にパーティー招待状が置かれてある。
その招待状について、松本がノートPCで検索している。
真彩と前田、PC画面を一緒に見ている。
松本「ねぇ、伯父さんってどの伯父さん?」
と、真彩に尋ねる松本。
真彩「父の兄の幸久伯父さん。関西経済界のドンみたいな人」
松本「へーぇ。マーちゃんとこって、ホント、社長、CEOとか、地位・名誉ある人が多いよね……」
真彩「うん。だから私は逆に肩身狭いんだよね。血筋が良い家系の中に、どんな血筋か分からない、場違いな私が居る訳だからさぁ……」
松本「今更なに言ってんの! そんな事、気にしない、気にしない!」
松本は優しい。
いつも真彩がマイナスの事を言うと、真彩の心が楽になる様に、さり気なく励ます松本。
前田「あの、そのパーティーって、どんな人が来るんですか?」
前田、興味あり気に聞く。
真彩「あぁー、関西の財界人達だって言ってた……」
前田「凄いですね。これからの日本の未来を変える力持ってる人達なんですね?!」
真彩「あぁ、そう言われるとそうだね……」
松本、マウスを動かし、調べている。
松本「成程ね。お偉いさんだけじゃないんだ。芸能人も結構いるね」
前田「えっ? この女優さん……俺、好きなんですけど……」
松本「あー、これ去年のだから、今年は違う人達じゃない? でも、これ、何か、親同伴の婚活パーティーぽいね」
真彩「はぁ???」
真彩、松本の言葉に驚く。
松本「伯父さんが、可愛い姪っ子に良い人見つけてあげたいって事?」
真彩「まさか。そんな訳ないよ。でも……可能性は無きにしも非ずか……あの伯父さんなら可能性あるわ。伯父さん、私の事、凄く可愛がってくれるから、私が望む、私に合った良い人を……って思ってくれてるのかもしれない……」
松本「しかし、やんちゃマーちゃんを抑えられる旦那探しは至難の業だな‥‥‥」
真彩「何それ?!」
松本の言葉に、ちょっと口を尖らす真彩。
前田「あのー、俺、社長のボディーガード役で一緒に行きたいです! 車も運転します!」
と言って、笑顔で真彩に懇願する前田。
真彩「えぇ?……」
松本「マジ?」
前田「そんな著名人が沢山集まるパーティーって見る機会ないですからね。だって日本の経済を動かしてる凄い人達に会えるなんて、凄い事だから……」
真彩「あぁ、まぁ、世界を動かしてる人もいるからね……言われると、そうだよね……」
松本「でも前田さん、凄い乗り気だね?」
前田「いやー、何だかワクワクします。是非連れてって下さい! 荷物持ちでも何でもしますから。お願いします!」
真彩、しばらく考える。
真彩「じゃー、運転手になって貰おうかな?」
前田「えっ? ホントですか? 嬉しいです!」
前田、目を輝かせて、とっても嬉しそうな顔をする。
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