第18話 真彩の発想力
【ハーモニー社・社長室】
朝、ハーモニー社・社長室では、真彩が熱心に、早急にするべき事業計画を、優衣に話している。
真彩「この店舗、アメリカンテイストの西海岸スタイルカフェに変更したいんだよね」
優衣「あらっ、良いですねー、楽しそう!」
真彩「で、弱者に優しいレイアウトにするの。車椅子の人や杖を使う人が通り易い通路にして、注文したのを運ぶロボットの導入、一人席拡大、ネット環境充実、年配の方達の憩いの場を提供。今なら間に合うから」
優衣「良いですねー。でも、ロボット導入は、資金、無いですけど……?」
真彩「だよね……でも、そこの融資は、パパにお願いする予定」
優衣「えっ?……そんな事……大丈夫なんですか?」
真彩「うーん……分かんない」
と言って、笑う真彩。
真彩「あぁ、あと、モーニングセットお得メニュー開発、広告費削減の為にYouTube、インスタ、ブログとか、SNS使って宣伝する。全社員さん、そのご家族、お友達にも協力して貰ってね!」
優衣「SNSの影響力、凄いですからね……」
真彩「まっ、良い意味でのねずみ講、無限連鎖講だね」
優衣「良い意味でのねずみ講ですか……?」
真彩「ピラミッド構造にして、ピラミッドがどんどん高くなる様に、底を増やして行くの」
優衣「成程。そうすると、宣伝費、削減出来ますもんね」
真彩「で、システム課に依頼して、アプリにポイントサービス付加してリピーター増やす」
優衣「成程」
真彩「会社のHPも簡単なゲーム付けて、ポイント貯めたら何かゲット出来るとか? あぁ、最近、スクラッチでポイント付与してる企業あるもんね」
優衣「あぁ、毎日アクセスしたくなりますね」
真彩「人って、些細な物でも、何か当たったり、貰えるのって嬉しいからね。人の物欲狙うの。まだまだ沢山思いついた事があるんです。これ……」
びっしりと書かれたリストの紙、五枚を優衣に渡す。
Excel で作ったものをプリントアウトしている。
優衣「えぇー?! よくこれだけ色々と思い付きますね……こんなの、役員のおっちゃん連中には絶対無理ですよ。社長の発想力、凄いです」
真彩「いやいや、それは、私が尊敬してるレオナルド・ダ・ヴィンチ様のお蔭ですわ」
と言って、手を組み、遠くを見詰めているかの様なポーズをする真彩。
優衣(心の中)「えっ?……ナウシカじゃないんだ……」
真彩「あの方の資料見てたら、視野が広がって、一方方向だけじゃなくて色んな角度から見て、宇宙から見る様な広い視野でもって、そんでもって地球全体見る様な感じで空間を拡げてみたっていうか何ていうか……」
真彩、ジェスチャー交えて、遠い世界を見ているかの様に言う。
優衣、黙って聞いているが、首を傾げ困惑顔。
すると、真彩も首を傾げ、
真彩「ん? 私、何言ってる?」
と、言い出す。
真彩のとぼけた顔に思わず、
優衣「ふっ……」
と笑い出す優衣。
真彩「でも、ダ・ヴィンチさん、絶対、地球外生命体から色んな事、教えて貰ったと思う。人間業じゃないもんね……」
優衣「えぇ?」
優衣、真彩の言葉に驚く。
すると、真彩、優衣の顔を見て、
真彩「あぁ、でね、スマホ持ってない人にも平等になる様に、カード作るとか、お年を召した方には別の形、考えないとね……」
と笑顔で言う。
優衣、微笑みながら、首を縦に振って、「うん、うん」と頷いている。
【ハーモニー社・食堂】
昼休み、食堂で、真彩と優衣、端の席に座り、ランチを食べようとしている。
真彩「宜しく」
と言って、スプーンに乗せた肉を優衣の皿に置く真彩。
真彩は、小さい頃から肉が嫌いで食べれない。
大学時代、コンパで、ケンタッキーのフライドチキンを皆が美味しそう食べるので、匂いに釣られて食べようと試みたが、ダメだった。
故に、優衣と一緒に居る時は、必ず優衣に食べて貰うのだった。
優衣「はいはい」
と言って、毎度の事に様に動じていない優衣。
優衣、食堂のスピーカーから流れ出した音楽に、聴き入っている。
優衣「何か、今日は懐かしい曲が掛かってますね。昔の名曲ばっかり。八十年代の曲かな?」
真彩「あぁ、これ、ママがが好きな曲を集めたCD。食堂のマネージャーさんに渡して、かけて貰ってるの」
優衣「そうなんだ……」
真彩「八十年代の洋楽ってホント名曲多いからね。実家でずっと聴いてたから、ママが好きな曲は私も好きでさぁー……」
優衣「あっ、この曲、何て言うタイトルでしたっけ? この曲、大好き」
真彩「あぁ、Careless Whisper。私、この曲、大好きなんだよねー……」
曲のサビの部分が流れると、真彩と優衣、歌い始める。
真彩と優衣「I'm never gonna dance again Guilty feet have got no rhythm
Though it's easy to pretend I know you're not a fool
I should have known better than to cheat a friend
And waste a chance that I've been given
So I'm never gonna dance again The way I danced with you」
身体を揺らしながら歌う真彩と優衣。
近くのテーブルで食べている社員達、楽しそうに歌っている真彩と優衣が気になり、ちらちらと見ている。
真彩「あっ、食事中、歌うなんて、お行儀悪いって、ママがいたら注意されちゃうわ」
そう言って笑う真彩。
優衣「やっぱりこの曲、良いわぁー」
真彩「良いよねー」
優衣「良い曲って、何十年経っても良いもんね!」
真彩「うん。心が癒されたり、震え立たせてくれたり、音楽の力って凄いと思う」
すると、今度は、マイケルジャクソンの曲が掛かり、踊り出す社員も現れる。
真彩「あっ、彼、ムーンウォーク出来るんだ……音楽の力って凄いなぁー。楽しいなぁ。また掛けて貰おっと……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます