第6話 ハラスメント? んな、アホな

【カフェバー「Route72」】


カフェバー「Route72」は、真彩の親友、松本拓哉が店長をしている店だ。


真彩は、小さい頃から自然と、父親の智之から経済学を学んでいた。

真彩が中学生になった時点で、智之から百万円渡され、真彩の運用力を試された。


真彩は直ぐに投資用未成年口座を開設し、株の投資を始めた。

すると直ぐに利益が出て、その利益分をまた投資に継ぎ込み、また利益を得た。


そして、松本と折半で資金を出し合い、若い二人が、Route72の店をオープンさせたのだった。

故に、真彩はオーナーの一人でもある。


店内は、イギリスのバーを想像させる様な、粋で、洒落た内装となっている。

その雰囲気が人気なのと、店長である松本、そしてスタッフが優しく親切に応対するので、いつも常連客で賑わっている。

料理も美味しいと評判だ。


夜、真彩と前田が、カウンター席に横並びに座っている。

そして真彩、前田に料理を勧めている。


真彩「これも美味しいよ? 食べてみて?」


前田の目の前に、何種類かの料理が並んでいる。

前田、美味しそうに、モリモリと食べている。

そんな前田を微笑みながら見詰める真彩。


真彩「で? 私がハラスメントをねー……しっかし、ハラスメントって、いくつあるのかねぇー?」


前田「結構、色々、有りますよね……」


真彩「パワハラ、セクハラ、モラハラ……あとー……マタハラ、ケアハラ?……んーん、他に何だ?」


前田「あっ、ジェンダーハラスメント。あと、飲み会の参加とか強制するアルコールのハラスメント?」


真彩「あっ、あとさー、リストラしたい人を窓際に追いやって、早く辞めさせ様とするリストラハラスメント!」


前田「あっ、あれもあった。IT苦手な人とかに無理矢理させるテクノロジーハラスメント」


真彩「こんなにあるんだ……残念な世の中だよね……何で、尊重し合えないのかねぇー? 皆んな、合掌の心で接したら、こんな言葉、生まれないのに……」


前田「嫌な世の中ですね……」


真彩「あっ……でも、私、テクノロジーハラスメント、やっちゃいそう……って言うか、やってるわ……自覚無かったけど……」


前田「えっ?」


真彩「だって、役員のおっちゃん連中、IT用語あんまり知らないし……アイデンティティ管理って言っても直ぐに反応しなかったから……」


前田「あぁ……」


真彩「それに、未だパソコン、スマホを使いこなしてない人がいるんだよ?! 開き直ってさぁー、『俺、精密機器、苦手だから』って堂々と言うんだよ? ちーたー努力しろよ!……って言いたい! 言えないけど……(笑)」


前田「あぁ……あの年代の人達って、新しい物をすんなり受け入れない人が多いですよね。未だにアナログの人がいますもんね……」


真彩「困ったもんだ。『俺、アナログ人間だから』って胸張って言うかなぁー……呆れたよ。副社長もさぁー……」

と言おうとした時、

真彩「あっ、愚痴った、ゴメン……」

と謝る真彩。


前田「いえいえ、愚痴りたくもなりますよ。何度教えても覚える気ない人いますしね。俺の母もアナログ人間ですもん。どうも機械音痴で……」


真彩「そうなんだ。ねぇ、前田さんのお母さんって、どんな人? さっきからよくお母様の事を言うから……」


前田「えっ? 俺、そんなに母の事、言ってます?」


真彩「うん。言ってる」


前田「嫌だなぁー。あっ、俺、マザコンじゃないですからね?!」


真彩「(笑)ふっ……でも、お母様の事、大好きなんだろうなって……」


前田「えぇー?」

前田、ちょっと顔が引き攣る。


前田「あぁ、そう言えば、さっき電話があって、明日、大阪に用事あって来るから、ついでに顔見に来るって言ってましたけど、きっと俺が元気かどうか確認する為だと思います……」

と言って、苦笑いする前田。


真彩「そうなんだぁー……」


前田「まだ、退院したばかりなのに、大丈夫かなぁー?……って思うんですけど、こうと決めたら俺の言う事なんて聞かないですから……」


真彩「へーぇ……どんなお母様か会ってみたいなぁー……」


前田「あぁ、じゃー、会って頂けますか?」


真彩「うんうん……」


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