第1話

眩しい西陽が差す午後の授業が終わり、教室から人がいなくなる頃。世界は茜色に染まる。




窓際の1番後ろの席でひとり外を眺めていると、



「お待たせ」



という愛しい声。


顔を上げてみれば、ドアから恋人がひょこっと顔を出している。

僕が近づいてその髪を撫でると、僕の目線より少し低い位置で、君はふわりと笑う。


茜色から薄闇に変わっていく帰り道を、ふたり並んで歩く。




そんなのは幻想だ。

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