指切りと握手

みなみくん

第1話 指切りと握手 1

指切りと握手


はいっ指切りげんまん


幼い頃から、キミとボクは約束事の度に指切りをしていた


保育園で先生が教えたのか、誰かがしていたのを見たのか


ボクは分からなかったけど

それが約束の仕方だよとキミは笑っていった


たわいもない子供の頃の1ページ


今でもふと思い出すのは、ずっとその当たり前が続いていて


なんとなく、なんでだったかなぁと思うと浮かぶ


17歳になってもキミは変わらず、小指を差し出す

思春期だし、ちょっと恥ずかしいとかそういう気持ちも少しある


けどそれよりも時々、本当に気のせい程度であるけれど


ほんの少し、キミの表情が一瞬変わる


悲しそうな、不安なような


ボクはどうしてなのか思いつかないけど、聞けないでいた、聞かない方がキミにとってもいい気がした

これは、いつからだっただろう


1番最初に気付いた時の事を、明確に思い出せない自分に、なんだか自己嫌悪した


そして、その頻度は少しずつ増えていった


増えていくごとに

指切りする小指を差し出す前の変化、し終わった後の笑顔の内側にあるような安堵のような雰囲気


ねぇ、どうしたの?


その一言が言えない僕でいる


そんな事も聞けない様な他人行儀な間柄でもないのにさ


僕が臆病なのか?

聞いたらダメって深層心理から無意識に、聞く事にタブーを感じてしまってるのか?


そんなに不安になるような大きな約束事をしてない


僕がそう思うだけで、本当は大事な事?


そんな事はないと思う


明日の帰りクレープ食べて帰ろうとか


休みの日に観たい新作映画に行こうとか


何でもない、普通の事


だからこそ、分からない


何かそれと関係なく、悩みでもあるのだろうか


仮にも幼なじみという間柄



幼い頃から見知ってるんだ


深刻な悩みを抱えてる事に気づかないわけがない、、、と思いたい希望的観測を含む、そんなまさかという自分の声


仮にあったとして、相談のひとつもない事はない筈


思考はぐるぐると回る


こんな事を考えていて、全くの検討違いで、そんな気がした事自体が違っていて何も無かったら、小説や漫画の読みすぎだ


危ない、主人公シンドロームとかそんな感じの病名の痛いやつになってしまう


偉大なフロイト先生に、診察を受けねばならない事案だ


ダメだ、しまいにはこんな脱線したふざけた思考に走ってる






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