魔王、勇者育成学園へ入学する

時先黒

第1章 入学編

第0話 魔王vs3人の英雄

私が魔王であり続ける限り、ここ魔王城に英雄はやってくる。いくら倒しても一年後には新しい英雄が誕生し、年に3回ほど英雄は私の魔王城に訪れる。しかし、英雄を倒すだけの事務的な作業に、私は飽きを感じていた。

もっと強い者たちは来ないのか、もっと私をワクワクされる者は来ないのか、そう内心では思っていたのかもしれない。そんな願い叶えるように私の元に現れた英雄は一味も二味も違っていた。


「ククク、よくここまで来た英雄よ。まずは、ここまで辿り着いたことを、素直に褒めようではないか。さすがは英雄様だ。はっはっはっは!」

「貴様と話してる暇はない!俺は、いや、俺たちはお前を倒すべきして、ここへやってきたんだ!褒められるほどのことではない。わかったなら、さっさと俺たちと戦え!」

そう1人の英雄が言うと、後方から2人新たに英雄がやってきた。


「私たち相手に勝てると思うなよ?魔王さんよぉ!」

「僕たちは、強いからね?」

2人の英雄も準備万端といったところか。それにしても今年は珍しい。


「ほう、今年の英雄は一致団結して3人まとめてきたのですか。珍しいこともあるんだ。まあいい。暇つぶしくらいにはなってくださいよ?」

その言葉を皮切りに戦いの火蓋が切られた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


数時間に及ぶ戦いは終わりを迎えようとしていた。


「私がここまで追い込まれるとは、貴方たちは只者じゃないですねぇ?」

「当たり前だ!俺たちは勇者育成学園を3年前に、学園史上最高の成績で卒業し、ここまで3人でやってきたんだ。負けるはずがない!」

「そうか、フフフ、私の負けだ。君たちほど強い英雄に今まで会ったことがなくて、舐めていたよ。」

「なら、早く死んでくれ。この世界のために!!」


私はそう簡単に死ぬわけにはいかない。。。

あの"大魔法"を使う時が来たみたいだ。


「ここで死ぬわけにはいかないのでねぇ、とある大魔法を使わせてもらうとするさ」

ここで私は全魔力を注ぐ勢いで、魔力を集中させ始めた。


「何よ、大魔法って」

「魔王が使う大魔法なんて聞いたことないぞ!!」

「僕も文献ですら見たことがありません。かなりまずいかもしれないです。」


全魔力を貯めたこの大魔法を私自身に放った。


その大魔法を受けた途端、目の前は真っ白になり、私は、7年前の魔王城に居た。


タイムトラベルに成功したらしい。


この大魔法は大きな代償を伴うかわり、魔王が生涯で一度だけ使える固有の魔法だ。こんなとこで使うことになるとは、勿体無い気分になるな。


さて、勇者育成学園へと向かうとするか。

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