原作の展開を破壊しつくした俺はしぶしぶラスボスになることを決意する
夜野ケイ
第1話「黒幕になった話」
今の状況を確認するためにも自分語りをさせてもらいたい。まず、俺は転生者だ。前世では偏差値50くらいの公立高校に通う普通の学生だった。ただ普通にトラックにはねられて、普通に転生しただけの一般冒険者だ。残念ながら、女神様に出会ったり、チート能力を与えられたりはなかった。自分の能力だけで生きていくことを強いられていたらしい、とは言っても自分の前世のことなんてあんまり覚えてないし、そもそも思い出したのだってつい最近のことだ。覚えてたらそもそも、こんなことになってなかったろうし、俺もやらかさなかったろうに……愚痴を呟いても仕方ないので話を戻させてもらおう。前世を思い出した俺はこの世界がゲームの世界であることを思い出した。それも俺が良くプレイしてたゲーム「ナイトクエスト」であることだ。
・【ナイトクエスト】
七つある王国の内の一つ『ブランク王国』にて特殊な魔法が使える主人公ルカが騎士学校に通いながらも悪の組織と戦いながら彼らの世界を巻き込んだ陰謀に立ち向かっていくというよくあるRPGゲームのことだ。
さて、俺の知っているゲームのシナリオと照らし合わせるとあることが理解できる……単刀直入に言えばラスボスがいないこの状況だと主人公たちは裏ボスに勝てないということだ。わからないだろうから順番に説明する少し長くなるぞ……
まず何から話したもんか……そうだな、まず裏ボスこと魔神と言う存在についてからだな。こいつはかつて世界を壊そうと暴れまわった最強最悪の魔物で人口二千万人ほどの国が一夜で滅ぼされたと言えばその強さが理解できるだろうか。そのためこいつはこの世界の神様こと唯一神によって倒され、その力の一片が世界中に飛び散り一部の生物に宿ることとなった。その破片を集めてとあることをしようとしていたのがラスボスだ。
めんどくさいからいろいろ端折るが
・ラスボスは魔神の力が欲しい
・神は魔神復活しないで欲しい。
・つまり敵対。
・そして、神敗北。
・でも、神の呪いラスボスかかる。
・結果、ラスボス願い叶わない。
と言う訳である。この辺はおいおい説明していこうと思うので今はカットだ。今は、ラスボスは目的を神によって邪魔されたとだけ覚えて欲しい。
で、色々あって魔神の力(魔人因子と呼ばせてもらう)を持った人間或いは魔物を殺せないラスボスだったのだがゲーム主人公ルカを使うことでこの呪いを突破することができたのだ。
なんとルカは魔人因子持ちの魔物に狙われやすくその魔人因子持ちの魔物を倒した際、その魔人因子はラスボスが取り込める状態になるのだ。これに目を付けたラスボスは次々と魔人因子持ちの人物或いは魔物を次々刺客をルカの元の送り込み魔人の力を集めようとしていた。結果として一連の事件の黒幕としてラスボスはゲーム主人公と仲間たちによって倒される。そして、ラスボスが集めた魔神因子によって復活した魔神もラスボスが送ってきた刺客によって鍛えられたゲーム主人公とその仲間たちによって倒されるというのがゲーム本作の流れだ。
ここまで読んでくれた寛大な読者に悲報です。
ラスボスすでに死んでます。え?ラスボス死んだなら魔神も復活しないんじゃないかって?残念、復活します。さっきも言ったけど、魔神因子持ちの魔物はルカを本能的に殺そうと狙ってきます。そんなことしてるうちに魔神君は意識を取り戻すくらいには復活します。俺の体に……なんかね、ラスボス倒した時に魔人因子俺の体に来ちゃったんだよね。是非もないよね。
そして、ゲームの設定集に書いてあったことだが、魔神はラスボスとかの強者を除いて自身の因子を持つ存在を操ることができるそうだ。つまり、魔神君が意識を取り戻したら自動的に完全体に近づくという訳である。そうなったら多分、ラスボスにより刺客修行とか経験してない主人公たちでは勝ち目がないだろう。強くなろうとも思わないだろう。だって、
わかっていただけたろうか俺が今置かれている状況が、きっと、俺が何もしなければ魔神復活で世界が滅びて俺も死ぬ。俺が冒険した思い出の国々もちり芥になるだろう。なら、俺がするべきことは一つしかない。
―――俺自身が主人公たちの黒幕になることだ
原作の展開を破壊しつくした俺はしぶしぶラスボスになることを決意する 夜野ケイ @youarenot
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。原作の展開を破壊しつくした俺はしぶしぶラスボスになることを決意するの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます