お隣の女優とゲームの話 二
僕は昔の記憶を辿って、押し入れからゲーム機を探し出すと、埃を払ってからそれを持ってリビングへと向かった。
「水野さん、ゲームがありました」
僕が声を掛けると、水野さんは興味津々といった様子で僕が手に持っていたゲームをまじまじと見た。
「これが、今のゲーム機なんだね。私が遊んだ事があるのは別のだったから、こんなに近くで見るの初めてかも」
「そうしたら、結構驚く事もあるかもしれませんね。取り敢えず準備してから説明するので、少しの間待っていて下さい」
水野さんにそう声を掛けると、僕はゲーム機をテレビに接続した。
すると、テレビの電源が入り、ゲームのホーム画面が表示された。
「すごい。勝手にテレビの電源が入るんだね」
驚いていた表情の水野さんだったが、ゲームのホーム画面を見た途端に不思議そうな表情をしながら首を傾げた。
「あれ? 画面に表示されているのは全部ゲームだよね? こんなにカセットが入っているの?」
「今のゲーム機はゲームカードだけではなくて、ダウンロードでも購入が出来るんですよ」
「そうなんだ。なんだかスマートフォンみたいだね」
水野さんの反応が面白く感じた僕はつい笑みを浮かべた。
すると、その様子を見ていた水野さんはムスッとした表情になると、「あっ、笑ったな〜」と、不満そうな様子だ。
「違いますよ。それより、早くゲームの練習をしましょう」
僕はそう言って誤魔化すと、水野さんが動画でプレイする予定のゲームを選択した。
ゲームのオープニング映像が流れ始める前は不満そうだった水野さんの表情も、映像が流れ始めると、「あっ、あのキャラクター知ってる!」や「すごい映像が綺麗だね」と、興奮した様子でテレビの画面を見ていた。
僕は水野さんが思ったより夢中でオープニング映像を見ているので、静かにその様子を見守った。
「水野さん、コントローラーをどうぞ」
やがて、オープニング映像が終わると、僕は水野さんにコントローラーを手渡した。
「さっき思ったけど、このコントローラーって取り外す事が出来るんだね」
水野さんは、僕に手渡されたコントローラーを見ながらそう呟くと、僕が手にしているもう一方のコントローラーを指差した。
「でも、これって片方だけでも使えるの?」
水野さんのその言葉に僕は頷くと、コントローラーを横向きにした。
「別売りのコントローラーもありますけど、こうやって持てば一台のゲーム機でも二人で遊ぶ事が出来るんです」
水野さんは、「へえー、すごいね」と感心した様に呟くと、僕の真似をしてコントローラーを横向きに持った。
「よし、これで準備万端だね! 強くなるぞ〜」
「まずは操作方法を教えるので、それを覚えるところから始めましょう」
僕はそう言うと、やる気満々の水野さんを微笑ましく思いながら、操作し始めたのだった。
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