冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた。
エアコン
第1話
妹が生まれた時にお母さんとそして死んだお父さんに約束した。
「妹のこと大切にする!!俺が守るから」
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その約束を俺は死ぬまで守りたかった。
だけど中学3年のある日、家に帰ったら。
「・・・どうしたの?」
中1妹が俺に嫌な視線を送ってくる。昨日まで、今日学校に行くまでは俺の腕に抱きついてくるほど好きだったのに・・・
「優、あんた最低ね」
「え、なんのこと?」
全くなんのことか分からない。
・・・というか最低って
「なぁ、春。何があったんだ?もしかしてお兄ちゃんなにか約束忘れたとか」
妹「何を言ってるの?あんな最低なことをしておいて」
「え、本当に俺何をしたの?」
マジで覚えがなかった。でもこの家族の顔を見るに、冗談じゃないようだ。そもそも家族は冗談でも・・・あんなこと(お父さんのこと)があって、言わない筈・・・
「とぼけないで!!私の大切な友達を襲った癖に!!」
「はぁ??いや何を言ってるんだ!」
「優、あんた今日から、この家を出ていってもらうは」
「ちょ、だから何を言ってるんだよ!!俺が襲ったなんて・・・なんだ!!なんだよ!!」
急に警察に取り押さえられた。
当然、警察を振り切れる力もなく、そもそも警察を振り切るつもりはない。
「まって、俺は何もしてない!!本当だよ!!急は部活で遅れただけで!」
母「その部活の人も証言してるのよ。」
優「はぁ?」
なんだ??なんで・・・
分からない。もう分からない。
俺にとって部活仲間は、よく一緒に居た友達の仲でも大切な幼馴染がいて特に大切な場所だった。
でも、この状況からして・・・俺はなんだかの理由に嵌められた。
「・・・俺は、何もしてないのに、」
もう誰も話を聞いてくれない。妹も母も目を逸らしている。
そして、
「・・・あんたが兄じゃなければいいのに」
妹はそう言い残した。
_________
それから、俺は少年院に送られ暮らすことになった。
そして、約2年後・・・冤罪が認められて俺はあの家に帰ることになった。
__________
本来、今頃高校2年生になっていた筈だった。
だが、あの問題があってから立場が微妙になっている。
中卒なのか、中卒ですらないのか・・・
はぁ、そんな問題もあるのにあの家に戻らないといけない。
さらに・・・俺が居ない間に再婚したらしい。
いまさらどうしろ?って言うんだよ。
________
家に玄関についた。
扉を開けることに躊躇する。
「・・・」
開けるしかない。・・・それかしかどっちみち方法はない。このままどこかにいっても金はないし、結局保護されて、ここに戻るだけ。
どっかに保護を頼んでも、別に俺は虐待された訳じゃないし・・・なにも問題に出来ない。
・・・そうだよ。そもそも妹もお母さんも何も悪くない。ここに来るまでなんどもそうやって自分に言い聞かされてきたじゃん。
・・・開けるしかない。そう思うしかないんだ。幼馴染達は明らかに俺を見捨てられた。ここで家族から見捨てられてたら、もうそれこそあとがない。あの時のことをどれほど恨んでも、復讐を望んでも結果的に、自分が辛いと思う時間が増えるだけだ。
復讐なんてしたくても出来ないんだから。
・・・だから!!そうだよ!!そもそも復讐もしなくていいんだよ。妹は悪くない。お母さんも仕方ないんだ!!
だから優はドアノブに掴んだその瞬間
春 「お兄ちゃん、私どうすればいいの」
聞こえてしまった。
「・・・別に、どうもしなくてもいいと思うぞ」
妹からお兄ちゃんと呼ばれている・・・男の声
「そうだよ。春ちゃんは何も悪くないんだし」
そしてまた、知らない女の子の声
「でも、」
「そもそも、その優って人が悪いんだよ」
・・・
「うんうん、騙される方も悪いしね」
・・・
優は、思考が止まっていた。ただ、その理不尽過ぎる現実と、発狂しそうな気持ちを殺し・・・
ただ現実を知る為に、耳をすましていた。
春「・・・」
「そんなに、気負う必要はないよ。きっと優しいその、優も許してくれるよ」
「うんうん、春ちゃんは 騙された だけなんだし」
「・・・そうかもだけど」
優は、もう我慢限界だった。
ドアを開けずにその場を一度離れることにした。
__________
アパートの階段の下。人に見られないような場所で
両手を地面に付け・・・
「・・・なんで、なんで」
優は抑えきれない涙を流した。
内心は許せない気持ちが沢山あるが、これからは幸せになれると信じていた。
だが、あの家には優の兄として居場所もなく、それどころかさっきの会話で自分はまるで自分達(妹達)巻き込む邪魔で哀れな被害者だった。
「・・・くそ、クソ。」
_________
胸焼けする苦しさ、全身が逃げろと心からそう言っている。
「・・・」
だけど、逃げる道なんてない。
死ぬなんて、怖くて出来ない。
時間も止められない。
「・・・」
こうして悩んでいるうちに夜が来る。そうなったら再婚相手や、妹やお母さんに迷惑を掛ける。
別に迷惑を掛けること自体はもうなにも思わないが、これ以上悪く思われたら、今後の俺自身の行動に関わってくるかも知れない。
だから、どっちみち行くなら早く・・・それしかない。
「・・・行くしかない。」
優は覚悟を決めて、前までなら早く終わって欲しい4段の階段を長く、続いて欲しいと今の覚悟の理由と矛盾した気持ちで階段を登った。
そして、さっき逃げたドアノブ今度は時間を掛けずにすぐに開けた。
春 「・・・お母さ・・・っお・・・」
春は何を言おうとしたのか、おかえりと言おうとしたのかお兄ちゃんと言いかけてやめたのか
「・・・春」
俺も、本当は笑顔で入るつもりだった。少しまでは・・・でも、
春「あ、あ」
優「ごめん、俺自分の部屋に」
そして、歩こうとするそこに
「ごめん、そこは俺の部屋になってるんだ。」
「・・・そうなのか。」
「悪いな。つかせっかく久しぶりに帰ってきたみたいだし、俺も妹も紹介したいしさぁ。リビングで話そうよ。お兄ちゃん」
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