合法ドラッグ待合室04
「どうしてこうなった」
「いいじゃないか。おやっさんと成哉は最近話とかしてなかっただろ? 昔みたいにいがみ合って追いかけっこしているわけじゃないんだ。今日は懇親会だ。かんぱーい!」
後日、俺と成哉、そしておやっさんを集めて大衆居酒屋で酒を飲んでいた。犯人逮捕に一役買った俺を労ってくれるそうで、だったら三人で集まろうと持ちかけたのだ。仕事が忙しい二人のスケジュール調整は大変だったが、なんとか予定を合わせてもらった。
「それにしてもよくやってくれた。でかい事件だったからな。解決できて本当に良かったよ」
「創はやればできる男だ。信じている」
「だったらもう少しお小遣いの額をあげてくれ。今回はガールズ二人のためにも頑張ったんだ。頼む!」
「グループの人間を何人か勝手に使っただろ。成功報酬から人件費と諸経費を差し引いたらそんなものだ。我慢しろ」
おやっさんはそれを見て笑っていた。俺は苦笑いだった。成哉はクールな顔をしてジョッキのビールを飲み干した。こいつはめちゃくちゃ飲むんだけど、顔は赤くならないし具合悪くならなくて吐いたところも見たことがない。飲む前もクールで飲んでる途中もクールで飲んだあともクール。どうなってるんだ、こいつの体は。人造人間か。
「お前たち、あまり違法なことするなよ。見えないところでやっているみたいだから見逃しているが、お前らの集まりだって何をするか心配だ」
「おやっさん。その心配はいらない。俺が統率している限りトラブルを起こすメンバーはいない。少しでもそんな気配を出したら警告し、改善がなければ除名している。問題を起こす前に殺している。安心しろ」
「お前が言うと何も安心できないな。ガキ共も忠誠心を試されているようで大変だ」
「一般常識がないやつには教育をしてルールを守らせる。一般常識を学んで育ってきたやつは当たり前のルールを守ってもらう。難しいことはない。会社でもバイト先でも学校でもどこでもルールはある。比較的縛りも拘束もない自由なグループだと俺は思っている。若い奴らの未来と今を支えてやれたら、それ以上はない」
「さすが、社長さま。お言葉も考えも一流だ」
「あまり茶化すなよ。祝勝のビールかけをするぞ」
「ごめんなさい」
おやっさんはまた笑った。俺はその笑いにまた苦笑いだった。
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