第9話錬金!

「さて…やるか錬金」


『──ですね!マスターまずはステータスを確認してみてください』


 んっ?ああ、そういえば初めて見た時以来確認してなかったな?そういえばいつの間にかクリーニングの魔法を覚えたし、色々と変わってるところがあるのだろうか?


 とりあえず見てみれば分かるな。



『ステータス!』




❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉


名前∶隼 豊和 (はやぶさ とよかず)


年齢∶14

職業∶ガイド

レベル∶1

体力∶10

魔力∶50(∞)

力∶3

俊敏∶3

器用∶30

知力∶30

運∶20


装備∶学生服


パッシブスキル∶ガイド (サチ)


スキル∶錬金術Lv5 アイテムボックス


魔法∶クリーニング


❉❉❉❉❉❉❉❉❉❉




 おっふ…いつの間にかなにやら覚えてるよ…。レベルは1のままなのにステータスも若干変わってるし…。それになによりスキルのガイドがパッシブスキルに進化してるし!?パッシブって自分勝手に発動してる認識でいいよな?


『──どうです!?凄くありません?パッシブスキルですよ!?常時私が発動してます!しかもデメリットが全くなしときたもんです!』


『後半の言葉を最初から言いたかったんだろ?まあ、サチのお陰で凄く助かってるのは事実だし?改めなくてもサチはすげぇよしか言えねぇよ』


『──くぅぅぅぅ~~~ マスターのそのお言葉が身に沁みます!』


 身はないだろうよ…。


『──言葉の綾ってヤツですよ。そんな冷静にツッコまないで下さい!』


『そういえばステータスの魔力の数値の横の(∞)はサチの魔力をこの間みたいに借りた時のって事だよな?』


『──前にも言いましたが、それもマスターの力なんですがね。ですがその認識であってますよ!』


 魔力切れの心配もなさそうだし、これってホントチートだよな。錬金術もサチのお陰か何気にレベルが高いよな?でもいつ錬金術なんてスキル覚えたんだろうな?クリーニングの魔法と同じようにいつの間にかサチのお陰で覚えたパターンだろうか?


『──それについてはクリーニングは誰でも覚えられる魔法ですのでマスターならそういう魔法は一度その身に魔法を受けるかその魔法を見たりしたら覚えられますよ!』


 なるほど…。


『──錬金術を覚えた事についてはからですね…』


 導いた?どういう意味だ?


『──それはその時が来たら教えますね!その方が分かりやすいですし』


『了解』


『──それでは前置きが長くなりましたが…早速錬金すると致しましょう!錬金してもらうものは先日錬金出来なかったユウショウ兎の血になります。あそこに置いてある樽にユウショウ兎の血をアイテムボックスから取り出す感じでイメージしてみて下さい!』


 俺はすぐさまサチに言われるがままの行動を取る。錬金室に用意されていた木で出来た樽に近づくとその樽の中にユウショウ兎の血をアイテムボックスから取り出すイメージをしてみる。



『──はい、オッケーですマスター!樽の中にアイテムボックスからユウショウ兎の血が取り出されました』


 樽を覗き込むと約半分くらいだろうか。赤黒い液体が入っているのが見えた。ユウショウ兎の血だろうな。こうして見るとテレビで見たように酒樽にワインが入ってるように見えてしまうな。


『──そうですね。見た目が赤黒いので赤ワインに見えてしまうのも分かる気がします。まあ、飲んだとしたらとてつもなく血生臭いですよ?飲まれてみますか?』


 いや、飲まないに決まってるだろ…。


『──賢明なご判断です。それでは不純物の毒を取り除きましょうか』


 毒あんのかよっ!?そんなもんを少しでも飲んでみますかなんて勧めるんじゃないよ!


『──飲まないのが分かってるからですよ。万が一飲もうとマスターがしていたら全力で止めてましたからね?まあ、ゆうてもユウショウ兎の血の毒性はそんなに強くないですよ?肉に血がついてたとしても火を通せば無くなる毒ですしね。要はウナギと似たようなものです!』


 そういえばウナギも生では食えないんだっけっ?血に毒があるから焼くんだったな。


『──錬金のやり方は覚えていますね?』


 うん。そりゃあね。昨日錬金でポーションをたくさん錬金したし、そりゃあ覚えてるよ。


『材料は薬草と水と魔力だ。まずは水に魔力を注入して魔力水を作る。そして薬草から回復の効能を抽出。んで、注入したそれを魔力水と混ぜ合わせて錬金!あら不思議、ポーションの一丁あがりときたもんだ!』


『──完璧です!流石はマスターですね♪ユウショウ兎の血はまず毒を抽出します。毒を取り除いた血に魔力を注入後、錬金すればあっという間にある物の出来上がりです♪』


 ある物は出来上がってからのお楽しみのようだな。昨日は忙しかったし、思わなかったから聞かなかったんだが…


『なあ、サチ。ユウショウ兎の血から毒を抽出して魔力を込めるだろ?その後それに魔力を注入すると思うんだが、それだけでは出来てないのか?ポーションも魔力水に薬草から抽出したものを混ぜ合わせたらそれはポーションじゃないのか?』


『──答えは出来ていません。最後に錬金する事によって別のモノに変えるのがこの世界の錬金です。その仮定は様々ですけどね!抽出して混ぜ合わせて抽出して混ぜ合わせて魔力を注いで最後に錬金だとか、魔力を注いでから抽出して最後に錬金といった感じです!』


『なるほど…最後に錬金しないと完成しないわけだな。よし、疑問が解消した事だし、早速作ってみるか。まずはユウショウ兎の血から毒を【抽出】!』


 その瞬間輝きを放ったのは錬金室の床に刻まれた魔法陣だ。そして対象となるユウショウ兎の血が輝きを放ち、何かが空中に浮かんでくる。抽出した毒だ。その毒は毒を入れておく容器があるのでそちらへ注ぎ込む。容器自体に毒を無効化する魔法が込められているらしい。


『よし!次は毒を抜いたこのユウショウ兎の血に魔力を【注入】!』


 ユウショウ兎の血が青白い光を放ち出す。


『そして最後に【錬金】!』


 カッ!っと、一段と眩い光が錬金室の中を一瞬だけ埋め尽くす。


『──お見事ですマスター♪出来上がりましたよ!出来上がった物の匂いを嗅いでみて下さいな!』


 樽の中を覗き込むと赤黒い液体は黒い液体へと見た目を変えている。手であおいで匂いを鼻に寄せてみるものの何ができているのかは分からない。嗅いだ事ある気はするんだけど。


『──流石に匂いだけでは分かりませんか?地球ではお馴染みの物ですよ』


『…飲める?』


『──ええ。正確に言うと飲むではなく、かけたり、それで煮たりっていうところですね』


 黒い液体でかける?煮る?そして地球ではお馴染み?なんだろう?かけるだから…


『もしかして…コレって…醤油…か?』


『──ドンドン♪パフパフ~♪正解です!マスターさんに三千点差し上げます!』


 それク◯ズダービーのはらた◯らさんに三千点!っていうのを真似ただろ?


『──マスターの趣味でもある動画漁りの賜物ですね!』


『嬉しくねぇわ!でも…ありがとうな?こっちの世界は調味料がないから味がな』


『──いえいえ!食は大事ですからね!どうせなら美味しく頂きたいでしょっ?』


『うん。醤油があれば結構色んな料理を作れるよな?砂糖や塩は元々この世界にもあるみたいだしな』


『──サチ改めク◯クパッドにお任せあれ!』


『そこは普通にサチにお任せあれでいいだろうに…』



 そんな訳で俺は異世界で醤油を手に入れるすべを手に入れたんだ。ユウショウ兎の血が醤油に錬金できるなんてな。


 まあ、それもこれも全部サチのお陰なんだけどな。




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