龍神は生贄少女に溺愛を注ぐ
二位関りをん
プロローグ
この国には人間が住み着く前から神と呼ばれる超常の存在がいた。人間の住まう領域と神々が住まう領域……神域の2つに住まう神はその能力を持ってこれまで幾度となく人間を助けてきた。
人間は神と結婚し豊かな暮らしを手に入れる事ができる一方で、生贄として選ばれた人間を神々に捧げてきたのである。
神は人間と結婚する事でしか子孫を増やせない。そして恩義を大事にする彼らは、結婚相手をとても大事にするのだとか。しかし敵対する者に対しては容赦ないとも言われている。
今は上下水道も整備され、干ばつに苦しむ事はまずなくなったが、それでも龍神を喜ばせる為に100年ほど前から10年に一度生贄を捧げているのだ。
占いにより生贄に選ばれた娘は、龍ヶ池側にある小屋で1週間身を清める為に隔離され、当日、白い装束を身にまとい池に入水する。当然、生きて戻る事は無い。それゆえか入水する際は抵抗を見せる事がほとんどだ。
生贄となる娘が逃げ出し、そして絶えないよう、この生贄の関連行事は関係者以外は全て口外禁止。生贄とは何たるかも村の娘達には知らされないのが普通なのだが近年、噂として村内に蔓延り始めるようになった。
そして、生贄に選ばれた娘が代理を立てる例も現れるようになったのである。
神の花嫁になれば一生天国、生贄になれば死あるのみ。
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