n回目のはじめまして

皐月

きらきら



 「はじめまして。これからよろしくね」


 瞬間、星屑が舞った。


そう微笑みながら近づいてきたのは、これから受験までの一年間お世話になる塾の先生だ。ただ近くにきただけだというのに、動きが少女漫画でよく見るようなスローモーションに見えてしまう。ここは、「こちらこそよろしくお願いします」と笑顔で答えるのが良いのだろう。だが、私の脳内はそれどころではなかった。


 大袈裟に言ってしまえば、直感が「この人が運命の人だ!」と私に訴えかけていた。そして、その訴えを無視できずにいたのは、出会った瞬間に感じたソレ(運命のようなもの)を信じたくなってみていたからだった。


 私はふと我にかえり先生の方を見ると、先生は少し不安気な表情を浮かべたと思ったら、またしても星が舞い散りそうな笑顔で「青木です。これからよろしくね」と微笑みかけてきた。



 「こちらこそよろしくお願いします」


 今できる最大限の笑顔でそう答えた。





 これは、私、月島希つきしま のぞみが先生に恋をした話。


 そして、私の『運命』についての話。

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n回目のはじめまして 皐月 @hyang_rina

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