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「お父さんが、このサイトを作った!?」
私は思わず目を丸くしながらそう言った。
父親は、私のリアクションに対して自信を持った顔で話す。
「そうなんだ。――まさか、梓の友人に拡散されるとは思わなかったが」
「そうね。この話を杏奈ちゃんと慶次くんに話したらビックリするかもね」
「それはどうだろうか? ――まあ、とにかく話の本題に入ろう」
そう言って、父親は話の本題に入った。
「あの時――要は、10年前に幽霊屋敷で遺体が見つかった時かな? 僕は、幽霊屋敷の惨劇を巻き起こした殺人鬼をこの目で見ていたんだ。でも、田舎の警察に掛け合ったところで門前払いを受けてしまうのがオチだったから、まともに話をすることができなかったんだ」
「殺人鬼? 誰なの?」
「正確な名前は忘れてしまったけど、サイトに幽霊屋敷の情報を掲載するにあたって、殺人鬼に対して『豊岡のジェイソン』と名付けた記憶がある」
なんか、名前がダサくないか? 私はそう思いつつ、父親に思っていることを話した。
「ジェイソン? あの、『13日の金曜日になったら現れる』っていう殺人鬼? まあ、私はその映画を見たことがないんだけど、13日の金曜日がある月は、少しだけ身構えてしまうかな」
そう言ったところで、父親は――笑った。
「アハハ、梓は面白いな。――ちなみに、ジェイソンは『チェーンソーで人間を皆殺しにするという』というイメージが定着しているけど、それは『悪魔のいけにえ』における『レザーフェイス』と
「なるほど。――コホン。とにかく、『豊岡のジェイソン』って……今でもどこかに潜んでるって言いたいの?」
私の質問に対して、父親は――俯きながら答えた。
「そうだな。もしかしたら、案外身近なところに潜んでいる可能性も考えられる。――ところで、『貫抜雪衣が交通事故で亡くなった』というニュースを見せてもらえないか?」
「急にそんなことを言って、どうしたの? ――まあ、良いけど」
私は、父親に交通事故の記事を見せることにした。
記事を見たところで、父親は話す。
「――ああ、そういうことか。貫抜雪衣は自ら命を絶った訳じゃなくて、ひき逃げによって殺されたんだ」
「どうして、そう断言できるのよ?」
「恐らくだが、貫抜雪衣をひき殺した犯人は――『豊岡のジェイソン』だ」
「えっ?」
「だから、『豊岡のジェイソン』は、貫抜雪衣をひき殺したんだ。そして、何食わぬ顔で――今でも豊岡という田舎町に潜んでいる」
「じゃあ、私が見た『幻覚』は……」
「そういうことだ。そして、恐らくだが――『豊岡のジェイソン』は、幽霊屋敷に潜みながら惨殺している可能性がある。だから、神崎友美恵に関してはもう諦めた方が良い」
神崎友美恵が、死んでいる? 私は、そんなことを信じたくない。
「そんなこと言われても――彼女はまだ生きていると思う」
「そうか。――深入りは止したほうが良い。それに、子供はもう寝る時間だろう?」
確かに、スマホを見ると――時刻は午後11時30分になろうとしていた。いくらなんでも、寝なれければ。
そう思った私は、ベッドに入って照明を暗くした。でも、血塗られた幽霊を見た後だと恐怖に怯えている状態だったから、常夜灯は点けて寝ることにした。
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