笑顔の素敵な君へ〜婚約者に浮気されて別れた後に、支えてくれた自分に自信のない年下のスパダリ上級アルファに溺愛されています〜

若葉有紗

プロローグ 奇跡

「愛してるよ。明透」

「俺も愛してる。圭佑」


 九年付き合った恋人に浮気された後に、支えてくれた。弓削圭佑は、肌が黒くて薄茶色の髪をしている。

 彫りが深くて、いわゆるソース顔イケメンである。タレ目で、優しさが滲み出ている。


 メガネをかけていて、出会った頃は自分に自信がなかった。綺麗な瞳をしていて、本当に顔が整っている。

 本当に色んなことがあったけど、俺はこの人に出会えて良かったと心の底から思っている。


 俺はオメガだけど、彼は上級アルファだ。上級アルファは、世界の人口の0.1パーセントにも満たない。


「クスッ……」

「どうしたの?」


 昔を思い出してつい笑ってしまった。するとソファに座って俺を後ろから抱きしめて、不思議そうに聞いてきた。

 俺はそんな旦那を見て、優しく微笑んだ。圭佑は俺のおでこにキスをして、微笑んできた。


 フワッと香ってきたラベンダーの香りが、俺の心を落ち着かせてくれる。

 本当に心地よい香りで、嫌な事も辛い事も楽しいことに変えてくれる。俺は今最高に、幸せだ。


「出会った頃を思い出して」

「過去に戻れるのなら、もう少し早く出会いたかった」

「俺もだよ。だけど……そんなことよりも今は、お腹の中にいる俺たちの子供のことを考えよう」

「そうだね」


 俺の少し膨らんできたお腹を摩って、圭佑は微笑んでいる。出会った頃は、少し頼りなく思えた。

 しかし今では、この人以上に頼れる存在はいない。俺はこの人と出会えて、良かった。


 そしてこれから生まれてくる我が子に出会えることを、本当に幸せだと胸を張って言える。


「本当に明透は、綺麗だよね」

「そうかな」

「この綺麗な黒髪も、左目の下にあるホクロも綺麗だ」

「ありがとう」


 首に腕を回して、抱き合った。俺のことを綺麗だというけど、圭佑の方が何十倍も綺麗だ。

 言葉だけでは伝えられない感謝を、これからも伝えていきたいと思う。

 これから話すのは、小柴明透と弓削圭佑の奇跡の出会いの物語。

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