第12話 持ってみますか?エスケープ
さて、今机の上に並んでいるのは朝ごはん。
そして、前に座ってるのは誘拐犯。
パンに白米にハンバーグ…
ハンバーグ?
「朝から重くない?」
「いえいえ、それほどでもありませんよ。
私の体重以下です。私、軽いですから。
持ってみますか?」
「そうね、軽かったわね♡」
これが
というやつなのだろうか。
まあ、細身のロ…子供じゃあ軽いよな。
「ですよね〜。あの時の私
軽々と持ち上げられちゃって、えへへ。」
「へぇ、そうなのか。
二人とも仲良いんだね、この人と。」
五、七、五!ってなんだっけ…
まあいいか
「そうかもな。」
仲悪くしたら消されそうなんだけどね。
ちゃんと裏側の方なもので、
「ところで、どうお呼びすれば…
真名ですと、お仕事に支障があるかもしれませんから。」
「あなたたち、本当に妙に分かってるわね…
まあ、私のことは好きに呼ぶがいいわ♡」
「じゃあ、オネエ」
「そうですね、オネエ」
「ボクもオネエって呼ばせてもらおうかな。」
「うふふ… さん はどこに
言っちゃったのかしらぁ?♡」
「あ、ミスった。」
「ミスりましたね」
「失敗はつきものだよ。
なんの問題もない」
「…ええ、そうね…
ただの失敗くらい
ん〜まあいいかしら、おねえさんって
呼んでもらえるなら嬉しいものよ、、ふふ」
そう言って、ヒスイちゃんと同じくして
ハンバーグに食らい付いた。
コイツもかよ…
朝ごはんにハンバーグって流行ってんのかな。
つか、心広いな
「ああそうだった。それじゃ、
そろそろうちの子も起こして来ないとね♡
気にしないで食べててちょうだい。」
そうして、俺たちが改めて朝食を
食べ始めた頃合いで一度部屋へと戻って行った
あの人が朝が遅いのは
いつものことなのだろうか。
俺がスキル発動しようとした時は一瞬で動き止めてきたのに…
「ねえ、ヒスイちゃん。あの人等、捕まえて来た後どんな感じだったの?」
話題の人がいなくなったタイミングで気になっていた事を聞く。
「あの時ですか…。確かあの人、少し離れた後に魔法使って私閉じ込める前に
助けは来るから大丈夫。みたいな事
言ってました。私たちは悪役だからとかも…」
何がしたかったんだよ本当に。
結局、依頼主さんたち解体したとか
さらっと化け物みたいな発言してたし。
「あの人もどこまでが仕事なのか
分からないけどヒスイちゃんと指輪狙ってた人達って本当に何者なんだか…。」
にしてもあの指輪、何も分からない俺でも
なんでか普通に怖かったな。今は考えないでおこうか。俺は朝ごはんはゆっくり食べたい人間なので。
「はぁ〜、大変そうやねぇ。このボクにも
出来るこ、あっつ…」
スープ熱かったそうで、可哀想に。
「とあったら言ってな。あっつ…」
「うん。冷めてから飲もうか。」
そして、いい人ぉ。
とかなんとかそんな話をしているうちに
オネエ、さんが帰って来た。
後ろにいるのはもちろんあの人。
俺たちを視界に捕えるや否や
「ん?あ、あの時の小僧と嬢ちゃんなんでいんの?しかもなんか一人増えてるし。
なんとまあ、綺麗に困惑してらっしゃる。
昨晩の俺みたいに、とは言わないが。そして、
昨晩の俺の悲鳴が見事に伝達されておった…
「あ、ども。はい、昨日の隣人。
昨日言われてたであろう人たちです。」
「ヒスイちゃん紹介ありがとう。」
「そして、悲鳴の主な発生源はこの
エスケープおにーさんです。」
「はい。そうです…
ヒスイちゃん紹介ありがとう…」
「そして、新入りのボクです。」
「そ、そうか。またやったんすか。組織解体…
無茶しないでくださいって何度も言ってるじゃないすか。」
「あら、無茶なんかじゃないわよ。あんなの
今回は上に沢山いるみたいだったし。
しばらくは気をつけておいた方が良さそうだったけど。」
不穏だなぁ。そして、あの魔法といい
どんだけ強いんだよこのオネエ…
「それじゃ、買い物でも行きましょうかね♡」
「お、俺の朝ごはんは?」
「こんなにゆっくり起きてきて食べれると
思ってるのかしらぁ?」
「…はい、さーせん。」
なんなんだ、このオネエというか保護者。
俺の目に狂いは無い。
この人は間違いなく面倒見のいい人だ。絶対。
「んじゃあね。私は奢らせてもらったから
急だけどここでサヨナラ♡
私たちは書店にでも入り浸ってるから
また会った時はヨロシクね」
ええ…これ、来いってことか?
そろそろこの方面の察しの良さが
裏目に出てきたぞ…
確かに俺の方向を向いて言ってきた。
「あ、ありがとうございました。」
感謝ではあるが、若干の違和感は拭えない。
そんな中そのまま颯爽と、
二人は去っていった。
「俺たちも放浪に向けて準備しないとな。
でも俺はこの辺は詳しくないから、
リト、道案内は頼んだ!」
「まかせろ!このスープ飲み終わったらな!」
まだ、飲めてなかったのか…
早くも仲間の新しい一面を。
リトは猫舌、気をつけおこうか。
「先に言っておくが、ボクの金にも限りは
あるから要注意だからな!
あ、先に外で待ってていいよ。」
「はい!了解です!」
「ええ…承知した。
んじゃ、外で待ってようか。」
何がとは言わないが無限に湧き出る、
いい人だと思ってたのに。
冗談だけどな⁉︎
まあ、分かってたわけで。
よしっ、俺もそろそろ働くか!…
でもまだ一切そんな気は無いっ!
昨日ので、懲り懲りだぜ。
推し活できねえから生命活動以外に
費やす金もまだ、必要ないしな。
ギルド、みたいなものも無くは
無いのだが…
「お、飲み終わったみたいですね」
「よし、じゃあ行くか!」
「案内係リト、起動開始!」
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