第22話

それを聞き取った三貴は、僅かに目を瞬かせたあと「覚えてんのか…」と言って苦笑いを零した。



 嗚呼、俺は────扇木紅華と、出会ったのか。あの、芯のあり優しい声を思い出す。



 生憎と、あの時は痛みで目が開けられなかったから彼女の顔や姿を見れていない。でも、それでも脳が覚えている。


 あの声は、懐かしく優しい声だったと。

 その声を脳裏で再生させて、俺は思う。



(また、会えるだろうか。

今度は、ちゃんと、話をしたい)




「今度助けてくれた人に…というか、紅華ちゃんに会ったらお礼言っとけよ?助けてくれたんだから」


 その言葉に、俺は勿論だと首を縦に振る。




「そういえば。…三貴は扇木紅華…さんと知り合いなのか?親しげな呼び名で呼んでるが」


「あ、あー、ああ。俺は紅華ちゃんの昔の知り合い…かな。今はあまり会わないんだけどね。昔は〝三貴くん〟って呼んでくれるくらいには懐いてくれてたよ」



 切なげに笑う三貴に、何かあったのだと察し、これ以上は深入りしては駄目だと気づく。そして、その話しに釘を打った。

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