第3話
────珠優(シュウ)side。
暗い夜の世界に、人工的な街の光がキラキラと煌めいている。
その光は、何も知らぬ者から見ればタダひたすらに美しいのだろう。否、実際は美しく綺麗なのだろうが、俺にはそう綺麗なモノだと思えない。
だって、この街はそんな綺麗なだけの街じゃないのだから。
路地裏での喧嘩は当たり前、救急車の音は日々忙しく鳴り響き、ホテル街のある場所では愛を求めた人々が傷を舐め合うかのように金でぬくもりを得る。
ここはそんな、どうしようもない人間の集う街。
────だが、それはここ数年で大きく変わったと言う。この街を公正させた人々がいたから。
それが『扇木(おうぎ)組』、この街の頂点に立つ者達の名だ。
世間は、その人達の事を『ヤクザ』と呼ぶ。
今そこの組長は暦年初めての女が務めている。
俺は昔、その人に助けられたことがある。……また会えたらお礼を言いたいところだが、向こうは覚えてないだろうな。
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