51.捨てられぬお守りマリアペンダント聖書一冊恩人シスター

 父のもとから逃げたとき、一時的にお世話になったのは教会でした。かけこみ寺ならぬかけこみ教会ですね。いまでいうシェルターのような感じかしら。

 緊急避難所的な施設だったこともあり、滞在した期間は短かったです。一か月もいなかったのではないかな。

 滞在できるのは最長で三か月だったと記憶してますが、有料の施設だったので(ひとりにつき一日五百円だったかな)いずれにしろ長くはいられなかったと思います。


 そんなわけで、超特急でアパートを探して退所したわけですが。わたしも母もほとんど着の身着のままだったため、シスターとほかの入所者さんたちが着替えとか食器とか、生活に必要な物品をすこしずつ贈ってくださったんですよ。自分たちだって大変な状況なのにさ。人ってすごいよね。

 で、シスターからはそのほかに『お守りに持っていって』と、聖書とマリアさまのペンダントをいただきまして。


 当時は『神などおらんわボケ!』と思っておりましたが、心からわたしたちの無事を祈ってくれていた(父に命を狙われてましたので)シスターの気持ちがうれしくて、長いあいだ大切に持ってました。が、何度か引っ越しをくり返すうちにどちらも行方不明に……。

 処分した記憶はないので、開かずのダンボール(何度も引っ越ししてると開けないままのダンボールとかできません?)の底にしまわれてるかもしれません。


 ちなみに現在のわたしは、自分の神は自分説を採用しています。


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