さばささる名義の短歌
さとうきいろ
野良猫と並んで君を待っているときに頭にふと鯖刺さる
夏はもう二度とわたしに微笑まずザアザア雷雨に冷えてく小指
ストロベリーショートケーキ笑ってよ地獄のような世界でふたり
今世の舞台は地球!下等なる「ヒューマン」として生きろ、だってぇ~~~~!?
わたくしを乗せず飛び立つふるさとに向かう飛行機 あんなに遠く
君 という二人称くちに出してみるアイスの実くちで転がすごとく
あの人はペテン師だった穏やかで平和な世界をかたってくれた
ねえライター持ってる?タバコ吸わなくて。線香花火買ってきたんだ
恋愛はマクガフィン也 君じゃない男の子でも良かったけどさ
口紅の発色だけはいい日だし成城石井でいい肉を買う
七つめのドラゴンボールが隠されたピューロランド(知恵の樹に成る)
きみが手を伸ばしてくれた指先に真っ赤な果実が実った 苦い
チー鱈を並べて数えて咒(まじない)を唱えて踊って君と交信
ドラえも~ん! インプレゾンビ倒してよ~~~~!から始まる回でジャイアン、歌わず
まだここは進化の果てじゃない地球 生きて繋げるぼくもどうぶつ
四文屋のサーロインステーキ350円くらいがわたしの身の丈ですし
この文が投稿されている頃も、わたしはこの世を生きてるでしょう
猫ならばシャーッと言えばいいところ人間だから微笑んでいる
偏愛を集めてはやしそれぞれの天の川めく自室のシェルフ
死に向かうダンスのごときセミファイナル うちのベランダ以外でおねがい
可愛いを食べればあたしも可愛いになれると言われ(いちおう信じた)
泣くために消費してきた歌たちに懺悔するためリンゴを齧る
平日の昼間に電車に乗る度に意外に人が多くてビビる
ペンギンの臭さを知ってる人とだけ話せる世界のひみつのはなし
水着ならOK下着はダメですよ←意味がわからんどっちも布やん
当たり前みたいに過去を忘れてく 忘れていくんだ今日のきもちも
詩人らの心はエモから放物線描いてゲスへ落ちてまた飛ぶ
透明でほっそり長い首筋に痕がないのが許せなかった
紅鮭と鮭の違いも青鯖と鯖の違いも知らず焼く
もう部活引退したんだはつなつのキャンパスノートの白さ眩しく
デパートの物産展には入らない程度の饅頭←これが食いたい
ポメラニアン三匹並び通勤路塞がれ今日はもう休みたい
2リットルアイスを抱えむさぼった罪かのように水が飛び散る
あと半歩詰めれば心地よく乗れる電車で詰めない不思議な人間
月を釣るじじいになるんだあの夏に煙草のにおいを纏った君が
先生と呼びたい人に出会えた日 先生、あなたをいつか殺すね
島にいた頃の尖ったセンスとか削れてキレイなぼく、シーグラス
雨漏りを溜める器のように君、わたしの歌で満ちておくれよ
はいみんな~二人組をつくってね(それぞれのイマジナリーフレンドと)
夏ですね。幸せですか?そうですか。こちらはもっと幸せですので
三歳のわたしが貼ったマイメロの上に粗大ゴミシール貼る
たじろぐな所詮あいつのからだにも黄色いうんちが詰まってるだけ
君のため汚した手だからねえせめて抱いてくれてもよかったじゃんか
ギャルのまま死ぬつもりだったカナちゃんも中学受験の話してるし
蛞蝓の這うのをじっと見ていた日、ただそれだけで終わった日のこと
漬けてある味玉よりもいいことがあるんですかねその飲み会は
ぬばたまの闇夜の烏の言うことは優しく甘く嘘でも良かった
あまりにもまろやかなシチュー今日推しが結婚したとは思えぬほどに
(死んでない?ゲリラ豪雨に降られてない?私をきらいなのはいいけど)
永遠に生きる覚悟もないくせに!とキレる彼女は何者なのだ?
とうめいな小さな袋に塩を詰め歌舞伎町など歩く冒険
青色をメンバーカラーとする君の滾る血液誰より赤い
夏になる前に倒した初恋のドロップアイテム「いのちのうどん」
半額のお寿司で感じるしあわせに比べればばやや物足りないひと
私には理解できない歌だけど君が口遊むひびき愛しく
五〇〇kmくらい離れてちょうどいい母さんのいいところだけ思い出せてる
注文の多い猫です飼い主よ食え寝ろ生きろずっといっしょに
トッピングする派の君に染まりきり味玉海苔増しチャーシュー追加す
なめらかに好きへと移り変わる夏、回し飲みする三ツ矢サイダー
WiーFiの名前をcurryにして出勤 翌日riceとhukuzinがいた
パングラムいろはにほへとしのぶれど誰かの言葉で身体が満ちる
さあ秋だ! 落ち葉さくさく踏み鳴らしロングブーツも軽やかな朝
運命はいのちの運びコトコトと森の小川を草船で行く
こうすれば好かれるなんて理屈では分かってるけど慟哭せし我
嘘という名前の服を脱がされて明け方三時の月の白さは
どうしても猫は可愛い寝ていてもゲロを吐いてもいなくなっても
腕まくらだけでよかった抱かれてるときに微妙な顔でウムムと
うるせ~~~~~~~~~~~~の精神を持て詩人たちわたしのことばを啓示とせよ
雨が来る匂いを嗅げば丸文字のカフェ看板がやけにあかるい
ゆるしあう あなたがくれた免罪符使わないまま朽ちてくだろう
やけに犬と目が合う帰路だ満月も着いてきてるし賑やかだ、夜
月ってさマジ真ん丸で笑えるなwww どこまでも馬鹿な君が愛しい
劇場に響く音階 これが世界 世界が全部おんがくになる
神さまの涙が雨なら雨乞いは神を泣かせるファッキンヒューマン
クレーマー同士で交配するだろういつかは違う種となるだろう
養生で保護する心臓わたしからあなたが出ていく春の引越し
淋しいと言えば絵になる少女期を過ぎてもずっと淋しいままだ
ゴスロリの私はフリルのパラソルで来世に向かって綱渡りする
駅ビルの地下の汚い居酒屋がワームホールの入口なんて
傾国の美女って今で言うとこのサークルクラッシャーか何かびみょいね
憂うつは感染症だ教室は群青色の湿気でいっぱい
謝辞として捧げる勇気のないぼくが祈りのように打つ&You…
何本も電車を乗り継ぎチョコレート買いに出かけて秒で蕩ける
いつまでも私の中ではおかっぱの君が入りし精神病棟
暗順応みたいだ最近ひとりでも特製ラーメン食べに行けるし
チェーン店ばかり選んで行く人を好きになれない小さきこころ
高校の頃の自分が分からないけれども好きな詩は変わらない
山田ん家、かき氷機があるんだぜって噂さざめく五年三組
アイドルは世界にたくさんいるけれどあたしだけだよ君を救うの
かけ小が三人続いたあとですがびっくりかき揚げおうどんください
人類が消えてもルンバは月水金わたしの部屋をめぐり続ける
死んでても海に行きたい!霊体で泳ごうはしゃごう八月の海
平熱が0.3度上がる恋 隠し撮りした待ち受け画面
終電で帰る主人を待っているサモエドがいる街に住んでる
元カレのアクスタ作り旅行へと連れてき地獄に置き去りにする
名前しか知らない女を探してる(人間なのかも不明な女)
あなたにも心臓肝臓肺があり心があるって気づけなかった
寂しくて泣いちゃいたい日も泣いた方が負けになるから中本食べる
いいじゃんかカジュアルおばさん友達や家族を愛し愛されてたら
LEGO食った犬が何にもしてませんって顔しよるから病院連行
この鳩は昨日の鳩とは違う鳩 昨日と違うヒト科のオスと
歯並びの悪さもくせ毛も泣き虫もぜんぶぜんぶがあたしの証
よく見れば蛾はふかふかだよく見れば道の割れ目にハルジオン咲く
恋人のLINEが返ってくるまでのあいだ納豆混ぜ続けてる
わたくしの中に住んでる掃除人は君をゴミだと認識してる
丁寧な暮らしのお宅で育ってるミニトマトよりぼくは無意味だ
何年もかけてこころを魔改造したからぜんぜん淋しくないよ
母方の祖母 父方の祖母 そして母を産みすぐに死んだあなたも祖母だ
お隣のカレーの香りを嗅ぎながら名もない男の家へと向かう夜
ドの場所が分からぬ君と弾く曲は不協和音のようなしあわせ
会いたくてとりま可愛いパンツ買ういつでも会えるよ毛も剃っとくし
下を見て歩けばヒトらは様々な靴を履きおり あ、下駄の人おる
パパ活の値段交渉が始まって全員聞き耳立ててるスタバ
マグロカツ、ビール、茹でタン、白ホッピー、中、冷ややっこ、中、中(夏)
推しが食った飯を食いたい そうやって延命してきたここ五、六年
ふわふわの(カニ、くま、クラゲ、夢、あられ、失恋、なみだ、牛丼並盛)
花筐(はながたみ)わたしの春を摘み入れた都会の底で種を蒔きます
ぼくにしか読めない恋の字 ぼくじゃない誰かのための恋文のなか
図書室で並んで文字を追っているときに頭にふと鯖刺さる
中吊りの減った電車を新たなる短歌投稿欄としましょう
恋愛はしない・されない・持ち込まない世界を無事に終わらせるため
オフィーリアみたいに綺麗にいかないよ今日のところは死ぬのはやめよ
漫才を聞きながら書く解答が気づけば関西弁になってん
偶然に出会うことばかり妄想し無為にすごした土日の亡霊
真夜中のカップヌードル(カレー味)待つ三分が永遠だった
ねむるときゆるく上下する君の胸が命のありかだとおもう
「さて今日も」「雑なはなしを」「していこう」「このまま夜が」「明けないように」
霧雨の爬虫類館あたたかく繋いでた手が汗ばんでいく
何色に塗られたあたしも可愛いし君に染まってあげてもよかった
知ってるよ、毛穴パックがダメなこと。それでも君に可愛く会いたい
うるさいなもうお前なんか俺のパフェの具にいれてやんねえ
野良猫と並んで君を待っているときに頭にふと鯖刺さる
はつなつのファンタグレープ、ガリガリ君、補習の君の焼けた首筋
通知欄バグるくらいのハピバでもあなたの不在は埋められなくて
君の欠片を集めてつくる人形は君だろうか(抱きしめている)
ヒトの欠片を集めてつくる人間は縺イ縺ィだろうか(繧ゅ≧隕九∴縺。繧?≧繧)
天国に一瞬行ったばあちゃんによるとマッチョのケーキ屋がある
ねえ待ってほんまマジなん人生が苦しみだけじゃないとか死ぬわ
高級な枕を買えどもけっきょくは週三は腕枕で寝てる
通勤の臨戦モードを解くようにスクリーンセーバーの猫は眠りこけてる
わたくしの残骸を吐き棄てるごと文学賞へ応募していく
文庫本開けば落ちる一本の黒髪 二十二のわたくしの
虹の根の場所を教えてくれるごとユリカモメの群れ今日もあそこに
いやだったぜんぶを詰めたコーラ瓶さんふらわあから海に投げ込む
犬が消えばあちゃんが消え音が消え記憶のなかのふるさとしずか
ホス狂がオムライスの写真あげてるの死んだ目で見て開けるストゼロ
だいたいは死んだら鴉になるらしい好きなとこまで飛べるしいいね
イヤホンの耳に当てるあのやわいやつ、名前しらんあれ、なくした泣いてる
メロンクリームソーダわたしを思い出せ あの夏 結露 夕立 別離
感性の劣化を必死で防いでるそのスタンスがダサいってんだよ
推しの読む本を読めども眠くなり夢のなかではふたりで読んだ
きみが持つ泣きボクロやけに性的で無性生殖時代の終わりを告げる
微睡みという名の毛玉が玄関で僕の帰りを待ちわび寝てる
腰掛けのつもりの会社に五年いてキープのつもりの君に求婚
この街でネコとわたし以外は眠ってる確信めいた不意の静寂
いつまでも大人になれない心臓をウィスキーに漬け来世に託す
百年が過ぎていたと気付くとき君を忘れていませんように
ペンギンの関係図に足すぼくの顔 誰からも線は引かれないけど
永遠に山盛りポテトが減らないし弓子は上司と不倫してるし
渡せなかった花束みたいな一昨日のきみとの距離がチクチク痛む
あー君と高校生クイズ出たかった、なんて言われてどうすりゃいいの
道端の放置自転車が錆びついて故郷はこうして死んでいくんだ
ぷるぷるのわらび餅を虐待し机一面きな粉まみれだ
愛されたいニンゲン過多で愛したいニンゲンはとうに絶滅したの
いつまでも大人になれない心臓をウィスキーに漬け来世に託す
遠雷や 今日から近くの雷でビビる
棄てられた名刺からやがて花が咲く その花の名は誰も知らない
新任の教師の耳に閉じかけたピアスの穴が残るはつはる
ウチらから始める世界征服でとりま全員タピオカ飲んどく?
そのむかしクルマと呼ばれた鉄くずで仔リスが産まれる三〇〇二年
ごめん今日は家帰らなきゃルンバ太郎が助けを求めてるんだよね
今日もイカセンターなの?いいけどさ、いつかイカになっちゃわないかな
空っぽのグラスを部屋に並べたら寂しい気持ちが満ちてく 月夜
重ためのオーブが揺れる胸もとは苦しいくらいに十七だった
きみは星(恒星ではない) 七次元先まで届くうた作らなきゃ
令和にも豆腐屋鰻屋酒煙草看板の文字掠れど残る
エビダンス カニはリズムも軽やかに根拠は無いけど幸せになる
どう見てもお尻みたいなプリンあり、沈黙するぼく「お尻じゃん!」ときみ
行けそうなとこまで行ってみますこのSuicaに入ってる残金すべてで
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