サービス終了間際なゲームで天下を取っていた俺、サ終の原因となったゲームを破壊する。
蒼
第1話 プロローグ
「ここまで…なのか…。」
♢運営からのお知らせ、と特に目立たせもしない黒地に白の文字で書かれたタイトルに、本文が続く。
内容を読むにサービス終了のお知らせだ。
どれもこれも… 全て… ッ!
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世界を熱狂させ、虜にし、魅了した。
何人、何十人、何百何千何万人と廃人を生み出した。
剣あり銃あり魔法あり。
使えるものはなんでも使え。
信じられるのは己のスキルのみ。
決闘ゲームといえばこいつ!
…と言われていたのも過去の話だ。
まだ世界を熱狂させ続けていたある日、大手ゲーム会社から発表されていた据え置き型の新ハードから
その名も
当初、AD運営やそのプレイヤーは「今時そんな新規ハード流行らん。」「当然EoDも流行るわけがない。」とたかを括っていた。俺もその1人だ。
…その慢心が良くなかった。
新ハードはバカ売れ。
ジエンデは稀代の大ヒット。
ADプレイヤーからも多くの決闘者が流れ出て行った。
ここで焦っていたら、焦ることが出来ていたならば、まだ現実は違ったのかもしれない。
しかし決闘ジャンルにおいて、今の今まで揺るぐ事のなかった自信を持っていたADは、その王座に胡座をかいていた。
「どうせごちゃごちゃ言っても一過性の物、たまたま当たっただけでみんな帰ってくるんだから。」
と、対策をしなかった。対応をしなかった。
…打開策を打たなかったのである。
因みに俺はこの時点で少し不味いと感じていた。が、世界ランク1位のプライドと、逆張りの謎のプライド精神でしがみつき続けてジエンデに浮気をしていなかった。
結果として1 vs 1しかなかったADに対して多種多様のカスタム要素を行える事に加え、ビジュアル、グラフィック、クオリティと全てで圧倒。
トドメと言わんばかりにPCでのクロスプラットフォームにも対応されてしまった。
けちょんけちょんにされた俺の古巣は、もう後がなかったのであった。
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「サービス終了まで、後半年…か。」
その事実が書かれた文章を、ぼやける虚ろな目で眺める。
俺の王冠。
俺の栄光。
俺の人生。
俺の生き甲斐。
俺の…全てッ。
何を間違えたんだ。
…答えは出ている。自分でも理解している。
何がダメだったんだ。
…答えはとうに出ている。抗いようがない。
あと半年。
この事実は… もう抗えない。
…本当に抗えないのだろうか?
…本当に? 本当に俺には何もする事はできないのか?
否。断じて否ッ!
あと半年? いや、まだ半年もあるじゃないか。
プレイヤーが出て行った? 全て取り戻せば良いじゃないか。
そうだ…
ジエンデを破壊してしまえば良いんだ。
これは逆恨みから始まる破壊の物語。
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