第3話

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初日勤務日、国際通りの誘惑


穂乃香の初出勤の日。天城家の御令嬢として、初めての外の世界での仕事が始まる日だ。沖縄の青い空の下、Loloの指示通り、朝9時にしっかりとLoloの自宅兼オフィスに到着した。


「よし、今日は頑張るぞ!」と、穂乃香は意気込みながらLoloに挨拶をした。


LoloはPC画面から一瞬目を離し、穂乃香に軽く頷く。「お前、今日から本格的に始めるんだ。簡単な作業からな。とりあえずネットワーク機器の設定だが...」と、細かな指示を出し始めた。


しかし、穂乃香の頭の中では既に違うことが考えられていた。


(ん?あれ、国際通りが近いって月夜さんが言ってたっけ…?)


ふと頭に浮かんだその考えが、次第に穂乃香の集中力をそらしていく。月夜も一緒に来ているし、少しだけ外に出かけても問題ないだろうと、無邪気に考え始めた。


「Loloさん、ちょっと設定に時間がかかりそうですし…先に、月夜さんと少し外の空気でも吸いに行ってきますね!」


Loloは少し驚いた顔をしながらも、「まあ、いいか。初日だし、息抜きしてこい」と、あっさり許可を出してしまった。穂乃香の勢いに押されたのかもしれない。



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国際通りの誘惑


「月夜さん、行きましょう!」と、嬉しそうに言う穂乃香。月夜は一瞬戸惑いながらも、穂乃香に従って一緒に外に出た。二人はすぐに国際通りへ向かい、そこには美味しそうな食べ物がずらりと並ぶ活気ある通りが広がっていた。


「ここが国際通り…なんて楽しそうな場所なんでしょう!」穂乃香は目を輝かせながら言った。


「お嬢様、今日は初勤務日ですので、あまり長居は…」と月夜が控えめに言うが、穂乃香は全く気にしていない様子で、さっそく食べ物に目を奪われていた。


「見て!月夜さん、あのタコライス、すごく美味しそう!一つ買ってみましょう!」


そう言うやいなや、穂乃香はタコライスの屋台に向かい、あっという間に注文を済ませた。「タコライス一つ、お願いします!」と、元気よく注文する姿は、まるで普通の16歳の女の子のようだ。タコライスを手に持つと、穂乃香は一口食べて目を輝かせた。


「美味しい!これ、天城家では絶対食べられない味よ!」


月夜も少し微笑みながら、「お嬢様、本当に楽しんでいらっしゃるようで…」と穂乃香を見守る。月夜も普段はお嬢様のお世話に徹しているが、この日は特別な外出で、少しだけ気を緩めていた。


その後、二人は沖縄名物のブルーシールアイスクリームや、サーターアンダギー(沖縄のドーナツ)を次々と試し、気づけばあっという間に数時間が経ってしまった。



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時間を忘れた結果


「お嬢様、もう昼を過ぎてしまいましたよ。そろそろ戻らないと、Lolo様が…」と、月夜が穂乃香に耳打ちする。ふと、穂乃香も腕時計を見て、驚愕する。


「え!?もうこんな時間!?…ちょっと食べすぎちゃったかも…」


時計はすでに午後1時を指していた。初出勤日にもかかわらず、穂乃香は完全に食べ歩きに夢中になっていた。


「…まあ、Loloさんにはちょっと遅れるって言えばいいわよね!」と、穂乃香は笑いながら、国際通りを後にした。しかし、その顔には満足感が溢れていた。


二人は急いでLoloのもとへ戻り、何事もなかったかのように振る舞おうとするが、Loloは既に全てを見通していた。


「楽しんだか?」


Loloの一言に、穂乃香は少し顔を赤らめながら「ちょっとだけ…」と答える。Loloは苦笑しながらも、「まあ、今日が初日だからな」と許してくれた。


「明日は、しっかり仕事を頼むぞ」と、Loloが穂乃香に軽く釘を刺しつつも、彼女の無邪気な行動を温かく見守るのであった。



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「天城穂乃香、ネットワーク無の世界「ネットワーク構築ゼロから始めるAI開発:天城家の挑戦」 @lolo1980

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