第58話 蕎麦屋の味

~蕎麦屋~


富沢「川岸が俺たちを誘うなんて珍しいな。しかも、奢ってくれるんやろ?」


川岸「おう。一度、ここにお前らを連れてきたかったんだ。夢が叶ったよ」


佐藤「ここの蕎麦って、美味しいんですか?」


川岸「いや、不味い。伸びてるし切れるし、食えたもんじゃない」


佐藤「ええ?」


川岸「だから、ここのカレーが美味いんだよ。最高なんだ」


佐藤「蕎麦屋の?」


川岸「ああ。芳醇なかつお節を、少しだけ強めに煮だして出汁を取ってるんだ」


富沢「なるほど。カレーに合わせるなら、少し臭みが出るくらいでもええのか」


川岸「そう。それに玉ねぎじゃなくて、長ネギの青いところを使うのもポイントだな」


姫路「和風なのね。面白そう」


川岸「蕎麦湯を使ってとろみを出してんだ。蕎麦の香りとスパイスの組み合わせが絶妙でな。とろみが強いから、箸で食えるんだよ」


佐藤「それ、いいですね」


川岸「惜しむらくは、本業の蕎麦がまずいことだけだ」


富沢「つらいな、それ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る