第49話 言葉遣い

~居酒屋~


佐藤「注文するとき、『おい、ビール』って言う人、いますよね」


富沢「いつぞや話題になったな」


姫路「アタシ、店員さんに横暴な態度のお客さんって嫌いかも」


佐藤「そうですよね。俺もそう思うんですよ」


富沢「それ言うとな。俺、関西に出張してた時期があったんやけど――」


佐藤「え? 富沢さん関西出身じゃないんですか?」


富沢「バリバリの江戸っ子や。で、その関西に行ったときな。敬語使ってもタメ語使っても、店員はんがあんまりええ顔せんのよ」


姫路「それって、単に富沢さんが嫌われてるだけじゃないの?」


富沢「俺もそうかと思ったんやけどな。ある日、思い付きで関西弁で喋ったんや」


姫路「そしたら?」


富沢「秒で店員はんと仲良うなれたわ。要は、東京もんが嫌いやったわけや」


佐藤「そ、そういうパターンもあるんですね」


富沢「それ以降、どこに行っても関西弁やねん。基本的に嫌われることも睨まれることも無いで」


佐藤「富沢さんの関西弁に、そんな秘密が……」

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