第35話 オーダーメイド

~ラーメン屋~


川岸「昔、ハンバーガーの値段が60円だったころがあってさ」


富沢「たまーに思い出すけど、そういや川岸、俺より年上やったな」


川岸「あの頃はプロロードレース仕様の自転車が、たった30万くらいで買えてたな」


佐藤「俺の世代だと、全然想像がつかないですね」


川岸「あの頃はまだクロモリ合金の鉄パイプを溶接するのが主流でさ。職人たちが手作業で作ってたんだ」


富沢「そこは俺も記憶にあるわ。一見すると同じ太さのパイプでも、厚みが違ったりする。どこで切り出すかによって、しなり具合が変わるんよな」


佐藤「オーダーメイドですか。憧れますね」


川岸「今じゃ合金のワンオフ機より、カーボンの量産機の方が速いもんな」


佐藤「カーボンだと金型の都合上、特注に向かないですもんね」


富沢「せやけどそのうち、3Dプリンターでカーボンフレームを出力する時代が来るで」


姫路「実は私のライトブラケットも、3Dプリンターで作ってもらったのよ」


川岸「時代は回るんだな。またワンオフの時代が来るかもしれないのか」


富沢「未来のオーダーメイドの話は中断や。今は目の前のカスタムオーダーに真剣になるで。ニンニクアブラマシや」


川岸「そうだな。アブラマシマシで」


姫路「アブラ抜きヤサイマシカラメお願い」


佐藤「全部マシマシで!」


富沢「おお、ええ食いっぷりやな。素敵なオーダーメイドや」


川岸「あれ? 何の話してたっけ?」

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