第34話 予算ゼロ

~河川敷~


富沢「おお、BBQやってんなぁ」


佐藤「楽しそうですね。それに美味しそう」


川岸「俺、ああいうの得意なんだぜ」


姫路「え? そうなの?」


川岸「ああ。ホームレスだったころ、よくやったもんだよ。雑誌とか程よくほぐして薪にして、トンネルの歩道に落ちてたアルミホイールでBBQ」


佐藤「……」


川岸「雑誌を燃やすときはな。ほぐし加減が大事なんだ。バラし過ぎると火力は大きいけど、あっという間に燃え尽きちまう。かといってそのままだと、意外と燃えない」


姫路「……」


川岸「ザリガニとか、カエルとか、よく食ったな。ザリガニは臭みがあることを我慢すればぷりっぷりで、カエルは味のない鶏肉みたいなヘルシーさだった」


富沢「……」


川岸「あの頃一緒に住んでた爺さん、今も元気かな……」


佐藤「俺、それBBQだと認めたくないです」


富沢「ザリガニもカエルもトンネルに落ちてるアルミホイールも、サイクリング中によく見るけど、食おうと思ったことないわ」

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