第13話 まだ飲む

~居酒屋~


富沢「つまみが足りんな。なんか頼むで。みんな好きなの言ってや」


姫路「アタシ、アボカドサラダ食べたい」


川岸「うわ。俺たちには絶対出てこない発想だな。酒にサラダって」


富沢「ええやろ。他にフルーツ盛りも頼むか?」


姫路「それは要らないかな」


富沢「なんや。女の子はそんなもん食いながら酒飲むんとちゃうの?」


姫路「多分それはキャバ嬢だけかな。知らないけど」


川岸「俺は焼き鳥が食いたい」


姫路「それじゃあ、アタシが串から外してあげる。得意なんだから」


川岸「いや、俺は串のままかぶりつきたいんだ。外さないでくれ。あとサラダも取り分けなくていいぞ。俺は要らないから」


姫路「なんでアタシがみじめな気持ちにならなきゃいけないのよ」


富沢「ええやん。焼き鳥みんなのぶん頼むで」


川岸「佐藤は何か頼まないのか?」


佐藤「え? えーっと、じゃあ俺、チャーハンとあんかけ焼きそばがいいです」


川岸「おいおい、もうシメかよ」


佐藤「え?いや、つまみながら飲もうかと」


川岸「それで飲めんのすげーな」


佐藤「ぶっちゃけ、ここまで自転車で来たから、腹減ってるんですよ。空きっ腹に酒とか、なんか寂しくて」


富沢「気持ちは解るで。若いな佐藤」


姫路「若いとかの問題なのかしら?」


富沢「ほな店員さん。焼き鳥3種盛りを4皿と、アボカドサラダ。それからチャーハンとあんかけ焼きそばと……俺はフルーツ盛りが食いたいな」


姫路「富沢さんが食べたかったのね……」


川岸「結局、誰も好みが合わないんだな。このメンバー」


佐藤「自転車乗ってなきゃ、絶対に会わない世界の人たちですもんね」


富沢「せやな。自転車がくれた出会いに、乾杯や!」

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