第11話 飲んだら

~居酒屋~


全員「かんぱーい!」


佐藤「このメンツで居酒屋で飲めるなんて、思わなかったです」


川岸「まあ、いつも自転車で集まるから、飲酒運転になっちまうもんな」


富沢「そういえば、みんな何を使うて帰るんや? 自転車乗って来た奴ばっかやん」


佐藤「俺はこの後、駅前の有料駐輪所に預けて電車で帰ります。明日も休みなんで、酒が抜けたら取りに来ますよ」


姫路「そのためだけに往復の電車代と、駐輪所台を払うのね」


佐藤「姫路さんは?」


姫路「アタシは家が近いのよ。自転車は押して帰るわ」


富沢「自転車って、引くんちゃうの?」


姫路「え? いや、どっちだろう? 押す? 引く?」


佐藤「どっちでもいいらしいですね。ところで、富沢さんと川岸さんは何で帰るんですか?」


富沢「帰らん。近くのデカいホテルを予約しとる」


川岸「俺も帰らないよ。近くの公園のベンチを予約してる」


佐藤「宿泊場所にこんな格差が……つーか、公園のベンチの予約って何ですか?」


川岸「ホームレス時代に世話になった爺さんがいてな。そっちの組合に頼んでるんだ」


佐藤「ホームレスの……組合?」


姫路「関わることも知ることも、普通は一生なさそうね」

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