第97話

「そうか、残念だ...



とても似てるんだよな、お前が今抱きしめてるその子に」



その言葉を聞いた瞬間、背筋が冷たくなった。


見えているのは背中だけのはずなのに、相手の表情が見える気がした。


同時に、私の表情も見られているような錯覚に陥る。



「この子は違いますよ」



「へえ?じゃあ少しでいいからこっちを見てくれよ」



「勘弁してあげてください。彼女、人見知りで恥ずかしがり屋なんです」

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