第59話

少しだけ感傷的な気分になっていたその時だった。



突然スマートフォンが震えた。

表示を見ると〝兄〟の文字。



すぐに電話に出た。どうやら忘れ物をしたみたい。



迎えの車が来るので、荷物だけ渡してほしいとのこと。



翔さんが忘れ物するなんてよっぽど楽しみだったんだなあ。



電話越しの酔っているだろう翔さんがとても楽しそうで、私も嬉しくなった。



ピンポーン


電話から5分も経たないうちに、インターホンが鳴った。

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