第86話

「お父さんは、私に結婚しようとは言わなかった。でもそれはお父さんなりの優しさなのよ。


きっと、結婚したら取り立てを仕事にしているお父さんだから、私に苦労をかける、って思ったんでしょう。


それに、お父さんがいなくなった日は、"神成組"という組の抗争があったの。お父さんはその組員。そしてその抗争は命懸けのものだったのよ。だから全財産を残して家を出たの。



…もし、この抗争で自分が死んでも私達が生きていけるように。



ここまで話せば、お父さんの良さが伝わるかしら?

あなた達の唯一無二のお父さんだし、私の唯一の愛する人なの。だから嫌って欲しくない。


これが最期のお願いよ。


あとは、あなた達の人生だもの、好きなように生きてね。辛くて苦しい人生なんて私とお父さんだけで十分よ。


たくさん美味しいご飯を食べて、たくさん寝て、大きくなるのよ?あなた達は私とお父さんの光なの。幸せになってね。


あなた達の傍にいてあげられないお母さんとお父さんでごめんね。でも、これだけは絶対に忘れないで。





-----私達は、死んでもあなた達を愛してる。」

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