第27話

それから、急いで着替えをした私は再びドアに近づき、



『涼、おまたせ。終わったよ』



と言うと、いつもと変わらない顔をした涼が部屋に入ってきた。



なんだ、やっぱりさっきのは気のせいか。



そんなことを思っていると、涼に、



「瀬南、もっと気を付けろ。相手が俺じゃなく別の男だったらどうするつもりだ」



と、頭を小突かれてしまった。



『うぅ…ごめんなさい。気を付けるね』


私がそう言うと、渋々といった様子で涼は納得してくれた。



涼が優し過ぎて、この時の私は忘れてしまっていた。




























体中を埋め尽くすそれの存在を。

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