序章 - 破滅への道2

 数週間が過ぎ、選ばれた10%の人々は、アーガスの指導のもとで地球の再生プロジェクトに取り組んでいた。

私はバイオテクノロジーの研究チームに配属され、環境汚染を食い止めるための革新的な手法を模索していた。

私たちの研究所は、かつて豊かだった森林地帯の跡地に建てられ、今は荒廃した風景が広がっていた。


「リナ、ここのデータを見てくれ」同僚のケンジが声をかけてきた。

「このエリアの汚染レベルが予想以上に高い」


「確かに...」私はデータを見つめながら考え込んだ。

「このままでは植物の再生は難しい。新しいバイオフィルターを試してみる必要があるわ」


 私たちのチームは、汚染物質を分解するための遺伝子操作を施した微生物を使ったバイオフィルターの開発に取り組んでいた。

これが成功すれば、荒れ果てた土地にも再び緑が戻る可能性があった。


「ケンジ、この試作品をエリアCに設置して、実験を開始しましょう」

私は指示を出し、フィールドワークの準備を始めた。

私たちが向かったエリアCは、かつて豊かな農地だったが、今は毒物に侵されていた。


 私たちは防護服を着込み、慎重にバイオフィルターを設置した。

ケンジが微生物の培養液を注入し、私はデータをモニタリングするためのセンサーをセットした。

実験が始まり、私たちはその場で結果を待った。


「リナ、これが上手くいけば、大きな一歩になるな」

ケンジが希望に満ちた目で言った。


「そうね、これが成功すれば他のエリアにも応用できる。私たちの努力が実を結ぶことを信じましょう」

私は彼に微笑んで応えた。


 数時間が過ぎ、センサーが初期のデータを送信し始めた。

汚染物質の濃度が徐々に下がり始めていた。


「見て、リナ。効果が出てる!」ケンジが興奮気味に叫んだ。


「やったわ、これで次のステップに進める」私は安堵の息をついた。


 その夜、私は研究所に戻り、今日の成果を報告書にまとめた。

地球環境の再生は一筋縄ではいかないが、一歩ずつ前進していることに希望を感じた。


 私たちは昼夜を問わず働き続けた。

新しい技術の開発、データの解析、実験の繰り返し。

私たちのチームは一丸となって取り組み、地球を再生するための道を切り開こうとしていた。


 しかし、私の心の中には常に家族のことがあった。

仮想社会に移行した両親と妹のリオはどうしているのだろうか。

彼らが仮想世界で幸せに暮らしていることを祈りつつ、私は地球再生のために全力を尽くすことを誓った。

地球上の生命が再び息を吹き返すその日まで、私は決して諦めないことを…。

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