紗良は電話を掛ける。


「榊原、合流できそう?」

「バイクで急行しています。間に合わせます」


 榊原と砂川のニ人の男は、ライフル銃を携帯していて、それ相応の訓練も受けていた。

 拳銃の実戦経験に乏しいメンバーが多い中にあっては、紗良にとっては彼らの存在が実に心強かった。

 深井からは実際に、最悪安村を銃撃して負傷させてでも確実に連行するよう指示が出ている。

 あの比類なき強力な感染力と高い致死性が特徴の殺人ウィルスの感染の広まりを確実に防ぐなら、この作戦は投入された人員も装備も妥当であろう。

 紗良は、そう自分に言い聞かせた。


(それにしても、どこへ向かっているんだろう)


 紗良は、マップ上を動く赤い点をにらんだ。

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