第126話
路地裏の中は、前に来た時とはどこか雰囲気が違って見えた。
しかも暗くて足元があまりよく見えないから、ゆっくりとしか前に進めない。
空気もじめじめしていて、心なしか息が吸いにくい。
それでも進む足は止めず、早くここから出たいという気持ちで無心に歩く。
…もう、どれくらい進んだだろうか。多分中間ぐらいまでは来たかな、と思ったところで。あれ?と違和感を感じた。
つん、と鼻を掠めたのは、鉄が錆びたような匂い。
ガンッ
バキッ
シンと静まり返った路地裏に微かに響くのは、何かがぶつかる音と何かが折れる音。
な、に…。嫌な予感がして、頭の中に警鐘が鳴り響く。これ以上、進んではダメだと。
なのに、止まることはなく進み続ける足。
だめ、だめなのに。これ以上進んだら、もう後戻りは出来ない気がするのに。そんな気持ちとは裏腹に、その場所に、辿り着いてしまった。
『…っ…、』
思わず目の前の光景に、息を飲む。
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