第115話
『え、あ、大丈夫だよ!ちょっとまだ頭がぼーっとしてただけ!』
「そうか?ならいいけど。そういやココ、お腹空くだろ。飯にするか。」
そんなお兄ちゃんの言葉に、そういえばお昼も食べてなかったな、と思い出す。すると、タイミングよく私のお腹もぐー…と小さく鳴ったのが聞こえて、お兄ちゃんと顔を見合わせて笑った。
その日の夕飯はカレーだった。お兄ちゃんのカレーはスパイスから材料まで全てこだわっていて、お店に出せるんじゃないかってぐらい凄く美味しくて一番好きな料理。
でも、お兄ちゃんがカレーを作る時はいつも、私が発作を起こした時だけ。その理由を聞いたことはないけど、何となく分かる。
私の大好物のカレーを作って、励まそうとしてくれてるんだと思う。
だって、カレーを食べている時は、私も自然と笑顔になれるから。
『お兄ちゃんのカレーは、やっぱり一番美味しいね。』
そう言いながら、自然と出来た笑顔を向ければ、お兄ちゃんもどこか泣きそうな、でも本当に嬉しそうな顔で笑うから、私も何故か、泣きそうになった。
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