第111話

でも、リツくんには聞こえたみたいで、何故か「ぶはっ、」と吹き出して爆笑している。






「何で名前呼ぶだけで恥ずかしがってんだよ…っ。」






『だ、だって…っ!』






自分の太ももをバンバン叩きながら笑うリツくんに、クールだと思っていたイメージが崩れていくと共に、だんだんと腹が立ってくる。






別に、そこまで笑わなくてもいいと思う。だって今まで、男の子と関わることが少なかったし、名前だって真於くんぐらいしか呼んだことがない。つまり、男の子の名前を呼ぶのに慣れてない。





むぅ…、と顔を顰めている私に気付いたのか、ようやく笑いが収まったリツくんは、






「悪ぃ悪ぃ。」






全く悪いと思っていないような顔と口調で謝ってくる。





もういい、放っておこう。早く行かないとお兄ちゃんが来ちゃって、部屋にいないって不審がられてしまう。






『もう、行くからね!』







怒り口調でそう言いながらドアノブを回した私の背後から、

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