第102話
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この頃の私は、お兄ちゃんも真於くんも含めて、”男の人”という存在全てに拒絶反応を示していた。
「ココ、お見舞い来たぞ!調子はどうだ?」
陽気な声を出しながら個室に入って来たのはお兄ちゃん。
でも、頭では分かっているのに、心が拒絶反応を見せる。
『い、や…っ!来ないで…っ。』
激しく震え出した身体を抱き締めて、目を瞑りながらブンブンと左右に頭を振って叫んだ。
「…ココ。着替えとか荷物、ここに置いとくな。…また来る。」
明るかった声は一気に暗くなり、部屋を出ていく音が聞こえて薄らと目を開けた時に一瞬だけ見えた兄の顔は、辛そうに歪められていた。
…ごめんね、お兄ちゃん。心の中で小さく呟いた。
お兄ちゃんは何もしない、って頭ではちゃんと分かってるのに。心が、どうしても拒絶してしまう。
何で。どうして。ごめんなさい。
そんな想いが頭の中を支配して。いつも、自分自身を責めていた。
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